6.5 アンテナ
第4章4.5,(1),?で述べたごとく、過去の事例の中でヒータ入空中線の採用があったとの記録があるものの、その後実用化された形跡がない。方法としては、着氷を剥離させるには良い方法と考えられるので、再度研究する価値があると考えられる。これと合わせて、電線そのものに氷の付着しにくい特性を持ったものを開発する必要がある。
また、空中線の引き込み部の碍子や波型展張碍子の破損事故も多く、これにも剥離しやすい性質やハンマリングに耐える体質のものを開発する必要がある。
開発必要技術 ・ヒータ入空中線の開発
・難着氷性電線被覆材の開発
・難着氷性及び耐衝撃性碍子の開発
前述のごとく、インマルサットCについては、今回の調査船に搭載されていなかったので実態が不明であるが、GMDSSの義務設備であり、その設備規則で、シャドーセクター等の条件が規定されているので、空中線の設置場所は当然マスト上の最上部になる。
このため着氷は比較的少なくないと考えられるものの、船舶の大きさにより条件も変わってくるのでその対応策を検討しておく必要があろう。
また、インマルサツトMについても、小型船では操舵室上という着氷の著しい場所に装備されるケースが多いが、この場合でもシートカバーを用い、F2Pドームを破損しない程度のハンマリングで十分効果が期待出来ると考えられるが、実船で検証しておく必要があろう。さらに、小型船舶の場合、設置高さが低くなるのでNTT衛星船舶電話のようにドームの容積が小さい場合には、小電力のスペースヒータを入れる方法も有効と考えられる。
6.6 船灯類
現地調査においては、透明のアクリル板で周囲を囲い、かつ灯火を点灯しっぱなしにしておくことで対応していたが、その効能については意見の別れるところで、効果ありとする者やなしとする者がいた。
しかし、点灯しっぱなしということは少なくとも発熱体として機能するので万一着氷しても剥離しやすいと考えられる。そこで、これをさらに効果的にするためにアクリル板の表面を難着氷性のものとする方法を開発する。
開発必要技術 ・難着氷性素材の開発
・はっ水性塗料の開発