日本財団 図書館


6.3 航海用レーダ

レーダのアンテナ部開口面には、FRP等の高分子化学による材料を用いるのが一般的な方法であるが、この材料は十分なはっ水効果を有していない。

しかし近年、超はっ水性材料の研究が進み、いくつかのものが実用に供される段階となっている。

そこで、この新しい超はっ水性材料をレーダのアンテナ部開口面に用いることが出来れば、着氷防止に大きなインパクトを与えることになると思われる。

ただし、レーダのアンテナ部開口面に使用するに際し、次の事項をクリアしなければならない。

?耐熱性に関するもの

IEC945(第3版)を引用すれば、レーダに要求される温度範囲は-25℃〜+70℃と広く、必要かつ充分な耐熱性を有していなければならない。

?耐候性に関するもの

レーダのアンテナ部開口面は、常に暴露されている。一般的に高分子化学による材料は、紫外線の影響を受けやすく劣化等の懸念があるため、必要かつ充分な耐候性を有した材料を用いることが求められいる。

?誘電率に関するもの

レーダのアンテナ部開口面は、レーダ電波の通り道であるので、高い誘電率を持つ材料を使用すれば、必要かつ充分な電磁波が通過できない。

?耐振、耐衝撃性に関するもの

船舶搭載機器であることからも、IEC945の振動に関する規定を満足するものであることが必要である。

 

開発必要技術 ・上記の必要要件をクリアする超はっ水性材料の開発

・はっ水性塗料の開発

・はっ水性加工方法の開発

 

6.4 衛星系406EPIRB

衛星系406EPIRBはその目的からして、緊急時に自動離脱することが絶対条件である。その上で電波を発信することが要求されるわけであるが、電波の発信に関する事項は本体そのものの問題であり、今回の研究対象からは除外して考察することとする。

したがって、今回の調査研究の対象は

?いかにして自動離脱させるか

?アンテナを折損させることもなく本体をどのようにして安全に維持固定しておくかの2点がテーマとなる。

なお、自動離脱装置には次の機能を有することが要求される。

?水深4m未満で水圧センサーが働くこと。

現在一般に使われている水圧センサーは、水圧センサー内部のダイヤフラムを水圧で押してロック状態を解除する方式となっており、着氷で海水の侵入が妨げられないことが必要である。

?水圧センサーと接続されたEPIRB本体の固定用ロープが外れる、或いは収納箱等の蓋が開くこと。また、接続部分や蓋の接合部分には着氷しないことが望ましい。

?EPIRB本体が架台又は収納箱等から自分の浮力によって離脱すること。

また、接触固定部分は着氷しないことが望ましい。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION