4.1 救命艇
(1)救命艇(ライフボート)
救命艇は、国内の法規においては、船舶救命設備規則で航行区域・用途に応じて搭載が要求されている。この規則は、海上人命安全条約(SOLAS条約)に対応しており、搭載が要求される船舶は大まかに言うと、総トン数500トン未満でかつ最大搭載人員が200人未満のものを除く第1種船*1と、長さ85m未満のものを除く第3種船*2となっている。
しかしながら、この規則に定められている要件には着氷に対するものはなく、温度的要件として次のものが要求されている。
・-30℃から+65℃までの範囲を通じて積み付けに耐えられるものであること。
【船舶救命設備規則第8条第1号】
・水中で-1℃から+30℃までの範囲を通じて作動するものであること。
【船舶救命設備規則第8条第2号】
図4-1-1に全閉囲型救命艇の一般配置図例を示す。
海外においては、一部の極間を航行する船舶(砕氷船、サプライボート等)に、着氷防止のための方策として救命艇の格納を半密閉室構造とした場所に行っているものがあった。通常の船は露出した甲板上にボートダビットを使って格納するが、このような極洋仕様の船では、海面側の一面のみが開放され、他の面は上下左右全て囲われた格納室になった部屋に収納されている。
図4-1-2及び図4-1-3にヨーロッパで入手した半密閉室構造の格納方式の例を示す。
(注)第1種船*1:国際航海に従事する旅客船をいう。
【船舶救命設備規則第1条の2第1項】
第3種船*2:国際航海に従事する総トン数500トン以上の船舶であって、第1種船及び船舶安全法施行規則第1条第2項第1号又は第2号の船舶(同項第2号の船舶にあっては、自ら漁ろうに従事するものに限る)以外のものをいう。
【船舶救命設備規則第1条の2第3項】
船舶安全法施行規則第1条第2項第1号又は第2号の船舶:漁船