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(1) 流出油処理問題

石油は生活に欠かせない基礎的物資であり、大部分は海運によって輸送されている。我が国でも、ナホトカ号の事故に伴う石油流失が、甚大な環境被害を引き起こしたのは記憶に新しい。

沖合いにおける流出油の防除に漏れて海岸に漂着した石油は、砂浜、砂礫、岩礁に付着し、除去作業は極めて困難なものとなる。油防除のための有効な微生物製剤や油処理剤の開発、防除活動に不可欠な漂流予測の開発が課題として挙げられる。その際には、処理剤散布やバイオレメディエーションを行ったときの生態系への影響も合わせて検討されるべきである。

 

(2) ホルモン撹乱物質による内分泌異常(環境ホルモン)

動物の生殖機能を撹乱するとして問題になっている「内分泌撹乱物質(環境ホルモン)」は、重要課題に挙げられよう。環境ホルモンは、生物の体内に入るとホルモンに似た作用を及ぼし、種の存続にかかわる影響を引き起こすと報告されている(図4-1)。報告されている影響事例の大半は水生生物であり、海洋環境との関係も深い。しかしながら、明確な毒性や作用機構、原因となる化学物質の特定について未解明な点が多く、今後の研究が待たれている。

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