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海洋環境対策手法に関する調査研究報告書

 事業名 海洋環境対策手法に関する調査研究
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


3 現状の海洋環境問題の把握

 

3.1 対策の実施が待たれる海洋環境問題

 

地球上の全ての生き物は環境の恵みを受けて生活している。しかしながら、われわれ人類は環境に大きな影響を与えながら発展を遂げてきた。これまで地球は無限に大きく、汚染物質を海洋や大気中に放出しても全てを受け入れてくれると考えられていた時代もあったが、現在では無限に大きいものではないことが明らかになってきた。大量消費型の社会システムや生活様式は人類が環境に与える負荷を飛躍的に強くし、遂には生活基盤を脅かす恐れが生じてきたのである。

海は、地球の表面積の約70%を占め、また、地球上の97%の水を蓄積している。地球最古の歴史を持つ生物圏は海洋であり、30億年以上にわたって生命を生み出してきた。海を有していたからこそ、地球には豊かな生態系と安定した環境があると言っても過言ではない。その上、環境問題の代名詞のように語られている気候変動について見ても、物理科学的に支配的な役割を果たしているのは海洋である。しかしながら、海洋環境も快適とは言いがたい状況であり、環境保全のために対策が求められる課題が多く山積している。海洋環境の現状を正確に把握するとともに、海洋環境問題への対処の基盤となる海洋環境対策手法の研究開発を図っていくことが、社会的に強く要請されている。

海洋の環境問題は、海洋の中で閉じているわけでなく、物質やエネルギーを通して陸や大気、あるいは生物と繋がっている。個々の海洋環境問題も他の環境問題と関連があり、相互関係を念頭に置きながら検討する必要がある(図2-1)。従って、海洋環境問題は広範な領域に及び、問題・課題の精緻によって何層ものレベルで複雑に絡み合うものも少なくない。本調査では、物理科学から生物科学の基盤の上に立脚した各種の技術に調査範囲を限定し、汚濁負荷処理技術、リサイクル技術、環境修復技術、監視・観測技術など環境保全に資する各種技術開発や、技術的基盤となる科学的知見をもたらす環境研究上の課題を網羅的に取り上げることとした(図3-1)。このため、環境規制や体制整備などの政策研究、人文社会科学的調査研究は対象から除かれている。

 

広範な海洋環境問題・海洋環境対策手法を包括的かつ網羅的に整理するにあたり、図3-2のような4つの分類を設定した。

○ 河川・湖沼・沿岸域の環境問題

○ 海洋の環境問題

○ 海底の環境問題

○ 海洋環境と関連が深い地球規模の環境問題

このうち「河川・湖沼・沿岸」では、陸水から海までを流域として捉えることとし、人間の出す生活排水や産業排水の問題を含めた。また「地球規模」では、地球温暖化問題と海洋環境問題の相互関係を一つの主眼とした。

 

 

 

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