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は じ め に

 

本報告書は、競艇公益資金による日本財団の平成9年度補助事業として実施した「海洋環境対策手法に関する調査研究」事業の成果を取りまとめたものである。

地球表面の70%を占める海は、生命の源であり、多くの生命体を育んできた。また、海は大気と熱や物質をやり取りすることによって、地球上の気候をコントロールしており、環境問題もまた海洋との関わり合いが深く、地球環境問題の鍵も海が握っているといっても過言ではない。

我が国は周囲を海に囲まれており、古来より海の豊かな恵みに支えられてきたが、産業活動の活発化などに伴い、各種の排出物が海へ流入し、海洋環境の汚染を招いている。この環境汚染の問題点を明確化し、その改善に取り組むことは海洋の恩恵を受けている我が国にとって極めて重要である。

本事業では、海洋環境問題の全体像を把握し、問題の重要性や環境対策の基盤となる科学技術の知見を総合的に判断して、今後取り組むべき研究開発の方向付けを行った。

なお、調査に当たっては、生物生産や漁業資源生産の重要な場であり、人々の諸活動に起因する汚染物質が原因で水質汚濁が進行し、かつ環境問題としての重要性が広く認識されている沿岸域に重点を置いた。

本報告書は、海洋環境の研究や技術開発に携わる研究者や政策立案者などが、海洋環境の問題点と対策の位置づけを明確化し、今後の方針を考える上での指針になるものと思われる。本報告書が多くの方々に広く利用され、海洋環境の改善に寄与することになれば幸いである。

本事業は、東北大学須藤隆一教授を委員長とする「海洋環境対策手法に関する調査研究委員会」の各委員の熱心なご指導とご審議によるほか、株式会社三菱総合研究所をはじめ、多くの方々のご協力により実施されたものであり、これらの方々に対して厚くお礼申し上げる次第である。

 

平成10年3月

 

財団法人シップ・アンド・オーシャン財団

会長 今市憲作

 

 

 

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