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分解反応に一層優れていることを見いだした(図 2-3)[11]。

内島ら[6]は熱的に酸素が脱離して酸素欠陥の生じやすいペロブスカイトに注目し、La-Sr-Co系が高い活性を示すことを報告している。島田ら[12]もY-Ba-Cu系が高い活性を示し、MgO担持によりさらに活性が向上することを見いだした。また、寺岡ら[13]もペロブスカイトが有効であると報告している。

安定な酸化物を形成しないAg、Auでは、表面酸素の脱離は容易である。しかし、NOの活性化能がないのでNO分解反応に不活性である。そこで、浜田ら[14]は酸化物系触媒について再検討を行い、前述のCo3O4にAgを添加すると活性が数倍向上し、共存酸素の影響も受けににくくなることを見いだした。以上、まとめたものを表 2-5に示す。

現在、NOの直接分解に最も高活性である銅イオン交換ZSM-5については、岩本らによって詳細な研究報告がなされている。

彼らは、IRを用いて同位体トレーサー法によりCu-ZSM-5上のNO吸着種を同定している。ニトロシルイオン((NO)2-sym、(NO)2-asym、NO-)が1827、1813、1734cm-1に、ニトロソニウムイオン(NO+)が1964、1906cm-1に、また、N2O,NO2の吸収が2238、2125cm-1に現れると報告している[15]。吸着活性点については、CO吸着後あるいは酸素処理後のIRスペクトル、Cu+の燐光スペクトル、Cu2+のESRスペクトル,NO昇温脱離プロファイルからアニオン系の吸着種はCu+上に、カチオン系の吸着種はCu2+上

に生成するとしている[16]。また、Cu-ZSM-5上のNO吸着種の吸光度の変化は図 2-4に示すように、ニトロシル型の吸着種は時間とともに減少しているのに対し、ニトロソニウム型の吸着種および分解生成物であるN2O、NO2は時間とともに増加している[17]。以上の結果から彼らは以下に示す反応機構でNOの分解反応が進行していると推測している。

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