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臨界NOに対して極めて大きな吸着能を持つことが報告されている。α-Fe2O3/ACFの室温での飽和吸着量は細孔320mg/gにもおよび、これはミクロ孔の容積の85%に相当する。この時、細孔中でNOは(NO)2ダイマーの状態で濃縮されていることが、磁化測定率、中性子を用いる方法によって確認されている。細孔中にミクロポアフィリングされている極めて特殊な例であり、興味深い例である。(図2.3-7)

 

(d)酸化物系の例

大量にNOを濃縮する方法として、最近注目を浴びているのが固体酸化物を用いたNO吸収法である。例えば、YBaCu3Oyでは300℃においてバルク全体の贈位音量に匹敵する大量のNOが吸収され、吸収されたNOは大部分はNOのままで脱離することが報告されている。同様に荒井らによってBaOと遷移金属酸化物の複合体がNO吸収に有効であることが報告されている(図2.3-8, 2.3-9)。Cu系化合物のNO吸着への適用例が多く見られるが、Cuがどのように関与するかのメカニズム、共存物質の影響はほとんど論じられていない。複合化により非晶質の高表面積が増大するため、NOx吸収能が増大すると考えられている。

また、トヨタ自動車ではNO吸収酸化物を三元触媒に応用し、作動領域を広げることに成功している。

 

 

 

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