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(2)脱流技術の現状

 

我が国の排煙脱硫技術の開発は約20年前に遡り、1970年代初めにかけての経済発展に伴うエネルギー需要の増大により、大気汚染が深刻な社会問題となりつつある中で取り組まれた。排煙脱硫装置については、当時大きな社会問題を引き起こした「四日市ぜん息」に端を発して制定された環境基準により急速に普及し、昭和45年に実用機第一号が設置されて以来、大気中の二酸化硫黄濃度は大幅に改善され、昭和63年には、二酸化硫黄に係る環境基準の達成率は99.7%にも達している。

 

[各種排煙脱流技術]

表2.2-2に各種排煙脱硫プロセスを示す。排煙脱硫装置は湿式法と乾式法に大別され、この内現在実際に設置運転されているのはほとんどが湿式法である。中でも石灰石または消石灰スラリー等のアルカリを吸収剤とし、副生品の石膏回収法が最も多く採用されている。我が国で石膏回収法が普及した理由としては脱硫率が高く、負荷変動に対しても安定している等の技術的要因以外に、

?アルカリ原料となる石灰石が国内で豊富に産出し、取り扱いが容易で経済性に優れている。

?副生品として建築資材のセメント用や石膏ボード用に適した比較的商品価値の高い石膏が回収でき市場性が大である。

?副生石膏の大量安定貯蔵が可能である。

などの立地上、経済上の要因が大きい。脱硫プロセスにおいては必ず副生品(硫黄化合物)が発生することから、新規プロセスの開発に当たっては端にプロセスの簡略化、低コスト化でなく副生品の処理、利用も含めた対応が必要となる。

 

 

 

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