的な応用技術開発を行い、産業をサポートしているのがMARINTEKである。MARINTEKは、内外の企業等からの受託研究を主業務としており、顧客企業の技術的なレベルアップに貢献している。また、上記のようなプロジェクトでは、まとめ役として機能している。
○海事産業界のまとめ役:ノルウェー船主協会
産の代表は、ノルウェー船主協会(Norwegian Shipowners' Association, NSA)である。NSAは、船主のニーズに対応した研究開発プロジェクトの仕掛人としての役割を担っており、上記の「MARITIM」プログラムもNSAが主導で成立させたといってもよい。独自の研究開発資金も持っており、船主が海事関係の研究開発に非常に大きな影響力を持っているという点は、日本との大きな相違点である。
○船級分野での技術的先導役:ノルウェー船級協会
もう一つ、この分野の研究開発で大きな役割を果たしているのがノルウェー船級協会(Det Norske Veritas, DNV)である。DNVは、船級分野のなかでも研究開発に注力する機関として知られているが、船級分野での競争力を高めることが、結果としてノルウェーの海事関連技術のレベルを高めることにも貢献している。MARINTEKの受託研究に相当するアドバイスサービスは、DNVの事業収入のなかでもかなり高い地位を占めているが、これもDNVの技術力を産業側が高く評価している結果と見ることができる。
以上の4つの機関(研究審議会、MARINTEK、NSA、DNV)と1つの大学(NTNU)が、図5-2-11に示すように強く連携しながら、高いレベルでの国内の産学官の連携、あるいは海外の機関・企業との連携を促しながら、非常に効率的に研究開発を実施しているというのがノルウェーの特徴である。