日本財団 図書館


討論

 

工藤: FOSCはワシントンとは連絡を毎回しなくても良いのでしょうか。必要となるいろいろな費用や組織間の法律的な調整等も、緊急時には全てFOSCが判断できるようになっているのでしょうか。

ベニス:  FOSCについては、「責任転嫁はしない」という言葉につきると思います。FOSCが全て意思決定を行う力を持っております。エクソン・バルディーズ号のような大規模な流出事故の場合には、より上級の者に当たらせます。例えばエクソン・バルディーズ号事故の場合には、一般大衆の耳目も集まり政治的な関心も大きいということで、より上級の海軍中将を当てました。しかし、その中将が新しいFOSCとして着任するまでは、資金についての裁断を下し、どういう対策を取るのかを決定する責任は前任者にあります。このような権限、責任力がなければ成功しません。軍の階級は問題ではありません。FOSCの監督者は、歴史的には提督ですが、許可、認可、決定に際して、いちいち監督者の所へ行く必要はありません。FOSCのスタッフにはアドバイザーとして法律の専門家もおります。また、石油流出事故責任信託基金の職員もメンバーに居て、手続き上の助言をします。しかし、対応を成功させるためには最終的な権限がFOSCに集中されなければいけません。

ゲインズフォード: 二つ質問があるのですが、本部の中で海岸と海上のオペレーションを分けているのですか。それとも海岸と海上での対応する二つの本部を一本にまとめているのですか。また、地域当局あるいは州の当局は法律上、浄化と事故に備える緊急防災計画に対する責任を持っているのでしょうか。また、これはボランタリーに行われるものなのでしょうか。

ベニス: 海上、近海、内海、河川、どれでも一つのものとして計画されております。海上の事故と海岸近くの事故を区別するものではありません。州としてはもちろん、地域の緊急防災計画や地域対応チームの会合に参加しなくてはなりません。

米国の場合、三つの州、名前は述べませんが、その対応プログラムは非常に積極的なものがあります。名前は言わないと言いましたが、それはテキサス、カリフォルニア、フロリダだと思います。これらの州は、我々の対応に深く関わっていますが、歴史的に言って、我々の対応では関連する三者、すなわち、FOSC、責任を負うべき団体と州の代表者が統合された指令のもとで作業をします。したがって、連邦政府と州政府の間には競合はありません。全てが一つのチームの中で一緒に働きます。もちろん、幸いなことにより多くの資金や人材を持っている州の場合には、より積極的に参加いたします。そして我々は投入できる資金力、そして、人材を持っているところが参加してくれるのを歓迎しております。

ゲインズフォード: 近海と言った場合には沿岸線も入るのでしょうか。

ベニス: そうです。

ゲインズフォード: 全てに対応するとセンターは非常に大きくなってしまうのではないでしょうか。

べニス: 国家的な規模の場合、例えば、エクソン・バルディーズ号事故の場合にはそうなります。たしかあのときには四つのプライマリーセンターができました。一つのセンターが母船で、FOSCが常駐し、そこから三つの代表が他のセンターへ送られ、それぞれのセンターの指揮をし、定期

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION