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kL、そのうち油量は約850kLと推定される。

ロ. 回収船・回収装置

油回収船は、福井港に福井石油備蓄(株)の「あすわ」が在籍しており、同船は、荒天が一時収まった1月9日から海上での油回収作業に従事した。

これより先1月4日海上保安庁から運輸省港湾局(名古屋)の浚渫兼油回収船「清龍丸」の出動を要請し、1月9日現場海域に到着、回収作業に着手した。

その他油回収船は、むつ小川原石油備蓄(株)「第3たかほこ丸」、白島石油備蓄(株)「はくりゅう」の出動を得て回収作業に従事した。

また、シンガポールのEARLからRO-SKIMシステム、ロシアからオイルフェンス、オイルトロール、DESMI250、フォックステイル等の回収システムを搭載した油回収船の協力があった。

油回収船、油回収装置の回収は、油が高粘度のため効率が悪く、油回収船の回収油水量は約1,100kL、油量は約100kLと推定され、また油回収装置は、R0-SKIMシステムは回収できず、ロシア派遣船の装置では、油水量約430kL、油分量約200kLの回収であった。

ハ. その他

小型漁船の回収作業には、2隻を1チームとして回収ネットを曳航して実施し、その他ヒシャク等が使用された。

これらの船舶等により、若狭湾、福井県三国町沖合から石川県の加賀、金沢、能登半島沖合さらに富山県、新潟県の沖合にかけて広い範囲に拡散漂流する油の回収作業を実施した。特に、若狭湾の敦賀周辺及び石川県志賀町に所在する原子力発電所の冷却水取水口への油の接近するのを防止する対応がとられた。

(2) 海岸付近の漂流油の回収

1月7日船首部が座礁した三国町雄島周辺の沿岸は、船首部から流出する油と漂流していた油が海岸線に漂着・浮流し、岸線付近の油は雄島橋をくぐり抜け、東尋坊の方向へ南下を続けたため、雄島橋に沿ってオイルフェンスを展張し油の拡散を防止するとともに回収器等により回収作業を実施した。

イ. 回収器

石油連盟が所有する2種の堰式(ウェヤタイプ)、回転円盤式(ディスクタイプ)及びビーチクリーナーが使用された。回収器は、海岸線の水深が浅く波が寄せること、油が高粘度の塊になっている等のため、汀線からドラム缶・ファスタンクヘ送油するポンプとして使用した。

ロ. バキュウム・カー、ポンプ車等

バキュウム・カーは、海岸線から直接油を吸い取る、又は間接的にドラム缶等から吸い取る場合に活用された。

コンクリートポンプ車は、バキュウム・カーに比べ吸引力は弱いが、吸入配管が長い特徴があり荒天時にも遠隔操作が可能であるため、安全に回収作業が実施できた。

(3) 海岸漂着油の回収

海岸に漂着した油は、主として多数の人の作業によって回収が行われたが、砂浜に漂着した油は、ブルドーザー、バックホウ等の重機により漂着油を集積する方法がとられた。集められた砂混じりの油はその後油と砂を篩い分けした。

また固形化した油は、一旦放水により砂混じりの油を水面に流し、水面から油を回収する方法がとられた。

以上のように、海上、海岸全般にわたり、漂流・漂着した油の回収作業が実施され、船舶による海上作業は2月20日に一応終結し、海岸漂着油の回収作業は、ほぼ4月末に終了したが、引き続き海岸清掃及び海上から

 

 

 

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