度で5V/mもしくはそれ以上(機器の取り付け場所によって異なる)の電波を放射しあるいはそれに相当する高周波信号を関連配線にグループから注入しても、機器が正常に機能することを確認している。この電界強度は意図的に電波を発する機器を除けば通常の携帯用電子機器から放射されるレベルをはるかに超えている。従って、?の可能性は考える必要はないと考える。
機体内部に配線されている各種電線については、前述のRTCA/DO-160の試験でも述べたように、電波に対する感受性試験では5V/mに相当する高周波信号を機器に繋がる配線にプループを介して注入して機器が正常に機能することを確認しており、やはり通常の携帯用電子機器からの電波が影響するとは考えられない。今回3mあるいは12mの各種電線を床に這わせて開放・終端での干渉を測定したが、機器あるいはシステムに影響を及ぼすレベルの干渉はなかった。この点については機体メーカーでも明確な基準を明らかにしないが、配線ルートの工夫、シールド線、ツイスト線あるいは同軸ケープルの使用等で対応しているものと考えられる。更に、仮に配線に干渉が起きても、機器側のコネクター部分に多くはEMIフィルターが取り付けられている。以上の理由から?の可能性も次の?に比べれば遥かに低いものと考えられる。
一般に航空機用受信機の感度は受信機端で数μV(-100〜-110dBm程度)である。この受信電圧を得るためには仮に経路損失を60dBとすると-50dBm(即ち0.01μW)程度の電波が客室内から放射されれば受信されることになる。表-2からもこれは決して有り得ない数字ではないことが判る。更に、Rayleigh分布では実際に測定された最大値(経路損失が最小の値)よりも強い電力が受信される確率が存在している。従って?の経路で航空機システムに影響を与えているという可能性が最も高いものと判断する。尚、今回の経路損失の測定ではアンテナから受信機までの高周波ケープル(機体側配線)も測定系に含まれているため、結果的には測定された値がアンテナからの受信電力か、高周波ケープルへの直接的な干渉かは区別できない。しかし、経路損失という考え方においては敢えて区別する必要はないものと考える。