日本財団 図書館


『雲の観察』

 

海事補佐人

一級海技士(航海) 横山信夫

 

最近の天気予報技術は皆さんも良く御存じの通り数値予報の時代で地上や海上や高層で得られた気象データを力学的に解析する手法が完成されて短期予報の的中率は80%程度まで向上してきたと言われています。現在私達は「天気図」により天気の流れを合理的に判断する事ができますが天気図の無かった昔の人々は長い時間をかけて雲を読んだり太陽や月や星の様相を注意深く観察し日々の生活に大きく関わる明日の風や雨を知る手段を自然の営みの中から探り出していた訳です。これらの経験則は現在でも合理的なものが数多く有り局地気象の判断に利用されています。今回は広く海と言う自然に関わる皆さんにきっと役にたつと思われる雲の観察について基本となる雲形を写真を付けて説明しておきました。もちろん雲は何時も一定の形をして空に有るのでは無く時間と共に刻々と変化して捕らえにくいものです。そのうえ大空に一つの雲が有る訳ではなく色々な雲が層状に何種類も出ているのが普通です。また、何種類もの変種が有って雲を読むのは大変ですが先ず基本の雲形をしっかり覚え、それ等の雲が何を皆さんに語り掛けているかを知らねばなりません。基本雲形は10種類に分類されていて上層に3中層に2下層に3垂直に発達する雲として2種類の雲があります。雲の観測は雲量、雲形、雲の高さについて行います。空が雲で一面におおわれている時は雲量は10で雲が一つも無い時は0とします。快晴は雲量1以下晴れは雲量2〜8曇りは雲量を9以上として全天と空にある雲の割合で決めて行きます。雲形は下記の通りです。

 

雲形名  上層 CH     巻雲  巻積雲 巻層雲

中層 CM     高積雲 高層雲

下層 CL     層積雲 層雲 乱層雲

垂直に発達する雲  積雲 積乱雲

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION