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2. 3 ブラジルの港湾管理運営

 

1) 経済政策と民営化

1-1 経済政策

ブラジルのGNPは5,797億USドル(1995年)であり、世界第8位の経済規模である。60〜70年代に工業化を促進させたが、その後公共財政の慢性的赤字によりインフレが高進した。

このため94年7月に新通貨レアルを導入し経済安定化政策(レアルプラン)を実施し、インフレ抑制に成功した。だが95年以降貿易収支が赤字に転落し、経常収支赤字が拡大してきている。

 

1-2 民営化

従前よりバス、トラック、航空分野は民間が運営してきている。以前は港湾と鉄道は政府が運営してきていた。

現在、国営の事業は全て民営化するのが政府の基本方針である。道路は部分的に運営を民営化し、鉄道もほとんどが民営化された。通信、電力も民営化が進んでおり、港湾は他分野から比較すると遅れている。

港湾は1993年設立した法律8,630号「港湾近代化法」に基づき民営化が進んでいる。

また、1996年設立した法律9,277号「港湾委譲法」により、州、市役所に港湾管理の権限を委譲していく。

 

2) 港湾制度

2-1 概 要

ブラジルの港湾制度は時代とともに大きく変わってきている。

・ 1964年以前

州あるいは民間運営の港湾(ペロタス港、パラナス港、サンフランシスコ港、サンパウロのサンセバスチャン港)が存在していた時代

・ その後

DNPVN(国家港湾水路局)が設置され、港を国営化し、国が直接、運営も実施する時代

・ 1978年〜1990年の間

1978年にポルトブラス設置、ポルトブラスは資本を99%中央政府が持つ公団組織であり、DNPVNの権限は全てポルトブラスに移った。そして、ポルトブラスがレセフェ港、マセーヨ港、エストリラ港などの河川港を直接、運営していた他、8つの埠頭公社(COMPANHIA DOCAS)を作り(埠頭公社はポルトブラスが100%出資して、民法に基づき作った会社、ブラジルでは公社と呼んでいる)、その埠頭公社に港湾の運営をさせていた。

 

 

 

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