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1. 調査の目的

 

現在、国際社会においては各種の交流が急速に拡大しているが、国際物流の拠点である港湾は、物的な交流という視点のみならず、貿易の振興、国内の生産・流通の合理化、国土の均衡ある発展等国家経済、地域の活性化を通じ、経済、文化の交流にも重要な役割を果たしている。港湾の管理運営の形態、施設建設の資金調達、費用負担、港湾の料金等の具体的内容は、それぞれの港湾において千差万別であり、その港湾の存在する国の経済政策及び行政機構、港湾管理者の構成母体、その成長発展の歴史、その国における港湾の役割等に総合的に関連しているが、いずれの港湾であっても、港湾の整備、管理運営にあたっての港湾財政の問題は重要な課題の一つである。

 

特に発展途上国においては、国家経済にとつて国際貿易港は最も基本的、重要な基盤の一つとなっているが、一般的に資金的に厳しい状況にあるなかで、コンテナ化等港湾機能の近代化要請、環境への配慮への要請も大きくなってきており、一方で港湾運営への民間企業の導入といった動きが世界的に見られるなど、港湾の管理運営の新しい形態が求められている。このため、発展途上国の港湾開発に係る技術協力の実施に際しては、当該国の経済社会情勢に応じた適切な港湾の管理運営に対する協力を求められることが多くなっている。

 

一方、国際貿易港は国際経済環境のなかでその役割を果たすものであり、港湾の整備運営等に要する資金調達、費用負担の問題は世界的な視点で検討されるべきものであることから、世界各国の港湾を念頭においた管理運営のあり方についての研究は、発展途上国に対する技術協力の立場からも極めて重要なものとなっている。

 

この調査は、我が国をはじめ世界各地域の主要港湾に関して、財務構造をはじめ管理運営の実態を調査し、港湾管理者の業務管理者の業務範囲、港湾会計、財源等を明らかにし、かつ環境への配慮など新しい要請に対する対応についても調査し、これらを評価分析することにより、世界の港湾の状況を踏まえた発展途上国における管理運営のあり方について研究することを目的としたものである。

 

この調査は3年の調査期間を予定しており、昨年度は、我が国及び欧米先進国を調査したが、本年度は、中南米及びアジア地域について現地調査を実施し、その結果を取りまとめた。

 

 

 

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