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これらの活動形態のうち、一般市民向けの活動としては、街頭活動、イベント、広報活動、道路環境の点検があり、特定対象者向けの活動としては、世帯訪問、施設訪問、講習会、広報活動があります。一般市民向けの活動は、広く浅く、特定対象者向けの活動は、狭く深くなりますが、重要なことは、これらの活動形態を年間を通じてどのように組み合わせて実施するかです。市町村によっては、母の会の活動が1つの活動形態だけにかたよっているところもありますが、これはよくありません。

一般市民向けの活動は、全国的または全県的な活動として行われる場合が多く、県や市町村、警察が中心となって実施されます。これに対し、特定対象者向けの活動としての世帯訪問や施設訪問などは、母の会が、他の民間団体と大きく異なった特色の出せる活動です。

例えば、高齢者の世帯訪問を行う場合、全家庭を訪問するのではなく、地域の交通事故の発生状況によって区域を限定するとか、世帯構成を三世代世帯、核世帯、単身世帯に区分して、「今回は単身世帯だけを訪問する」というように対象者も限定し、きめ細かい活動をすることが効果的です。

以上、世帯訪問を例にとりましたが、地域活動はその地域の人口数、集落形成の状況、経済活動の状況などを勘案して、各種の活動形態をうまく組み合わせて実施することが肝要です。時期を合わせて街頭活動も行い、世帯訪問も行うというように、総合的な活動も行うことで、より効果があがるのです。

 

3. 特定対象の決め方

 

交通事故の発生状況は地域によって大きく異なります。例えば、若者の場合、全国的には自動車および二輪車乗車中に事故死が多いのですが、地域によっては原付三輪者乗車中の事故死が多いとか、高齢者の事故では三世代世帯の高齢者が多いというように、地域差があります。市町村の母の会が地域活動をすすめるには、地域の交通事故の特徴を把握することが最も必要ですから、警察署に交通事故統計の分析資料の提供についてお願いしてください。

この分析は、若者の事故が多いとか、高齢者の事故が多いといった大ざっぱな分類でなく、後述の「6.調査」にあるように、母の会の活動対象が特定できる以下の内容を明らかにしたものであることが必要です。

(1)場所

市町村の中でも、幹線道路の一定区間の地域、あるいは交通事故多発地点というような場所の区分。

(2)世帯構成

高齢者の場合、三世代世帯か、核世帯か、単身世帯かという区分。それによつて、例えば二世代世帯の高齢者の交通事故が多ければ、母の会の訪問先を三世代世帯に絞って高齢者のみだけてなく、家族の方、孫にまで交通

 

 

 

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