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里親制度の推進に関する要望書

私達里親は、家庭に恵まれない児童の健やかな成長を祈念しつつ微力を尽くしているものであります。

児童福祉法制定50周年にあたり、私達は、我が国の里親制度についての多年に亘る要望が実現されることを強く期待しておりましたところでありますが、その改善策が全て見送られたことは誠に残念な次第であります。

近年における少子化の趨勢に鑑み、要養護児童の福祉施設の一翼を担う本制度の役割は益々重要性を増しておりますので、特に次の事項の実現を図り、早急かつ効果的な本制度の充実と普及に御尽力いただきますよう強く要望するものであります。

平成9年9月17日 厚生大臣 小泉純一郎殿

財団法人 全国里親会 会長 渥美節夫

 

1.児童福祉法を改正し、里親についての規定を整備し、里親としての権利及び義務等を明確に規定するとともに「里親」及び「里子」の名称について検討されたいこと。

現行の里親への措置期間を20才まで延長するとともに、実親の不当な親権行使に対処できるよう、検討されたいこと。

2.里親制度の普及を図るため、次の点について強力な指導を行われたいこと。

(1)里親特に若年層の養育里親を開拓し、未委託里親への委託を促進し、また短期間里親制度を推進すること。

(2)民生委員児童委員等福祉関係者、学校教育関係者及び地域における関係者の協力を求め、特に主任児童委員の積極的活動を要請すること。

(3)テレビ、新聞等報道関係者に対し、里親制度についての理解を浸透するとともに、「里親」という言葉の使い方を含め正しい里親像についての認識を深めていただくこと。

3.里親業務体制の強化を図るため、全ての児童相談所に専任の児童福祉司をおくよう指導されたいこと。

4.心身障害児の里親受託を促進するため、加算制度の創設等の措置を講ぜられたいこと。

5.ファミリー・グループ・ホームの制度化を促進されたいこと。

6.教育関係費を実情に合う額に引き上げるとともに高校生の部活動及び通学に要する費用等を支給できるように改善されたいこと。

また里親手当についても実情に即するように増額されたいこと。

7.保育所通所の活用及び児童養護施設等との連携強化などにより里親委託児の処遇の充実を図られたいこと。また措置解除後の後保護対策を推進されたいこと。

8.国及び都道府県・指定都市は、全国里親会及び地方里親会の活動を促進するため、一層の指導助成を行われたいこと。

 

 

 

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