はじめに
発刊にあたって
厚生省健康政策局長 谷 修一
現在,わが国は本格的な少子高齢社会を迎えつつあり,疾病構造の変化や,国民の医療に対する意識の高まり,また景気の低迷など保健医療を取り巻く環境が急速に変化しつつあります。
こうした状況の中で,要介護者の増大に対応した介護体制の整備や,医療需要の急増に対応した医療提供体制の整備を図る必要性から,介護保険法及び改正医療法が昨年12月に成立しました。改正医療法は本年4月,介護保険法は平成12年4月からの施行が予定されており,今後の医療需要及び介護需要を的確に見据えて,良質かつ適切な医療提供体制の確保に努めて参りたいと考えおります。
へき地保健医療対策は,無医地区住民の保健及び医療サービスを確保するため,昭和31年度以降,へき地中核病院,へき地診療所及びへき地保健指導所の整備,機動力の確保,へき地勤務医師の確保,医療情報システムの導入,研修機能の充実強化等の事業を7次にわたる年次計画に基づいて推進して参りました。これらの施策により,へき地における保健医療水準の着実な向上が図られ,へき地保健医療のさらなる確保を目標に,平成8年度より平成12年度までの5カ年を計画期間とした第8次計画を実施しているところであります。本計画で新たに位置付けたへき地医療支援病院の整備を進め,今後とも無医地区の医療の拡充に努めて参りたいと考えております。加えて,先に申し上げた医療法の改正により,へき地医療の確保について,都道府県が策定する医療計画において位置付けられることとなり,山村.離島などのへき地における保健医療対策の一層の充実が期待されるところであります。
もとより,このような施策は,へき地保健医療に携わる皆様のご理解とご協力なくしては実行があがるものではありません。日頃からご尽力いただいている方々に心から感謝するとともに,今後ともより一層のご協力をお願い申し上げます。
この「へき地医療の体験に基づく学術論文集」は,現にへき地医療に従事されている皆様方の日常の研究成果を集めたものです。皆様の活発な活動の一端を知ることができ,意を強くするとともに,今後の皆様のより一層ご活躍に期待する次第であります。
本誌が,へき地保健医療の向上に広く寄与され,今後ますます発展されることを祈念いたしまして,刊行にあたっての言葉といたします。
(厚生省 〒100-8045 東京都千代田区霞が関1-2-2)