は じ め に
この報告書は、日本財団の平成9年度の補助事業として実施した「路線バスの高度情報化のための調査研究」の結果をとりまとめたものである。
近年、高度情報通信技術等を用いて、人と道路と車両とを情報でネットワーク化することによりー体のシステムとして構築する高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)への取組みが積極的に進められている。ITSとは、ナビゲーションシステムの高度化、安全運転の支援、公共交通の支援、商用車の効率化等により、交通事故、渋滞等の自動車交通に係わる諸問題の解決を目指すものであり、欧米においては、自動車交通政策上の中心的なプロジェクトとして積極的な取組みがなされている。我が国においても、平成7年2月に、高度情報通信社会推進本部が策定した「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」の中でITSの推進が盛り込まれており、さらに、平成8年7月には、今後20年間の長期ビジョンとして「高度道路交通システム(ITS)推進に関する全体構想」が策定されたところである。
このうち、バス事業においては、ITSの導入により、運行の円滑化、利用者への情報提供の充実、運行管理の高度化等を実現することが期待されている。
このような背景のもと、本調査は、一般利用者、事業者等のニーズを踏まえ、実証実験等を行いつつ、バス事業におけるITSの活用方策について、関係省庁とも協力して研究を行い、その結果を取りまとめたものである。今後、この成果がバス事業において、利用者利便性を向上させ、さらには新たな交通需要を創出する一助となれば幸いである。
本調査研究を進めるにあたっては、横浜国立大学工学部助教授中村文彦先生を委員長とする委員会の方々からご指導を賜るとともに、関係各位の多大なるご協力を頂いたところである。ここに厚く感謝の意を表する次第である。
平成10年3月
社団法人 日本バス協会
会長 青山茂