ま え が き
本書は、日本財団よりの平成9年度補助事業「モラトリアム世代のキャリア開発に関する調査研究」をとりまとめたものである。
長びく景気低迷によって新規学卒者の採用削減が引続き実施され、就職状況は依然として厳しい。そうしたなかで、すでに15〜24歳の若年層の失業率は6.7%(1997年平均)を記録し、欧米並になりつつあることが懸念されている。若年者の失業、職種ミスマッチによる離転職、自らの本格的な適職探しや職業的自律の機会を失いかける事態は、雇用問題にとどまらず、まさに来る21世紀への経済社会の動向をも左右する重大な問題といわなければならない。
かかる問題を打開し、新たな雇用創出と職業能力開発をどうすべきかをテーマとして、アルバイト求職の若者と専門学校生を対象に調査を行い、併せて企業の若年者採用活動を通じたキャリア開発の実態を把握したのが本調査研究である。
本調査研究の成果が、若者自身の職業選択を通した自己理解とキヤリアの形成に貴重な示唆を与え、また、若年者の適職開発に関する企業及び高等教育機関の対応に役立つ有効な資料として、広く活用されれば幸いである。
本調査研究の実施に当って、アンケート調査等に回答を寄せ、協力して下さった企業、専門学及び同在学生、求人情報誌講読者の皆様、御支援をいただいた労働省(労政局)、そして千石保(財)青少年研究所所長をはじめとする研究委員各位(別記)に対して、心からお礼を申し上げる次第である。
平成10年3月
財団法人 雇用開発センター
理事長 井上 美悠紀