実習を進めていくうちに、人体の構造を覚え、いろいろな知識も見につけることができ、やはり、自分は、非常に良い経験をしたんだということを実感しました。紙の上だけの知識では理解しにくい部分も、実際に目で見ることで、確かなものに変わっていくことを願じました。
献体をした下さった方々のおかげで、貴重な知識を得ることができたと思います。
解剖学実習を終えて
山田 英樹
初めての実習の日、僕はシーツにくるまれたご遺体を見て衝撃を受けた。何枚ならシーツの中は練習用の人形とばかり思っていて、まさか生身の遺体が眼前に現れるとは考えても見なかったから。僕はそれによって何ともいえない失望感と責任感を感じた。
失望感というのは、人間が死んでしまうとただの物体となり、それが何とも小さく見えてしまったことである。これは祖父が亡くなったときにも感じたのだが、何よりも肌の感じが蝋人形みたいになり、そうなるのにどうしょうもない悲しさに襲われたのである。だからいきなり実習にとりかかれと云われたときは、自分がやっていいのか、自分に出来るのかと云う、そんな自問自答を繰り返していたのである。しかし僕が目指すのは医者である。そんな気持ちを持ちながらもやらなくちゃ、自分のためにもご遺体のためにも、ご遺
