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問4 第五条にいう「引取者」には、献体者とどのような関係にある人がなれるのでしょうか。

 

答:ご注意頂きたいのは、本法によって初めて「引取者」なるものが設けられたものではないことです。従来からも、身寄りのない方が亡くなられた場合には、隣人、知己あるいは施設などに入所されていたような方の場合にはその施設長などの方々が、遺族になりかわって遺体を引取り、葬儀を行い、火埋葬することが認められておりました。ただ、このような引取りは、葬祭目的のために認められるものとの考え方から、例え本人が献体の意思を明らかにされていた場合でも引取者が大学へ遺体を渡すことはできないものとされてきました。本法は、献体の意思の尊重されるべきことを定めるものでありますので、このような場合でも献体の意思の実現される途を開くこととしたものです。

手続き的には、市町村長から火埋葬の許可を受けることにより引取者となるわけですが、許可にあたっては、本人との生前の交際の密度、扶助などの事情が考慮されることになりましょう。

 

問5 第七条、第八条には、それぞれ文部大臣の指導・助言、国のとるべき措置についての規定が置かれていますが、献体運動とは具体的にはどのようなかかわりをもつことになるのでしょうか。

 

答:第七条の文部大臣の指導・助言については、専門的・全国的見地からの支援が期待されます。また、従来国と献体者団体とのかかわりについて明白でないところがありましたが、今後は文部大臣を通して行われることが明らかになりました。なお、指導・助言にあたりましては、ボランティア活動の主体性を尊重する意味から、団体からの求めに応じてなされることになります。

第八条の国のとるべき措置については、国として献体について国民の理解を得るに必要な措置がとられることになりますが、具体的には政府広報を通じての広報、広報資料の作成.頒布等の充実が図られることになりましょう。

 

問6 (法律ができたのだから)「登録した大学の病院には優先的に入院させてもらえる」とか、「無料で入院・治療してもらえる」などという声を聞きますが、本来、献体は無条件・無報酬で行われるものであったのではないでしょうか。法律の条文にも、無条件・無報酬の言葉が見えませんが、これと関係があるのでしょうか。

 

答:問1についての答の中でも触れましたように、献体は奉仕の精神の発露としての行為でありますから、無条件・無報酬に行われるところに献体の献体たる所以があります。現在日常的に多数の方の参加されている献血についても無条件・無報酬に行われる奉仕活動であり、これに金銭の授受のからんだ時には売血と呼ばれます。

献体についても同じように考えて頂きたいと思います。もし献体にあたって何らかの物質的見返りを期待される方があるとしたならば、いま一度献体の精神の本旨を想い起して頂きたいと思います。法律の条文の中に無条件・無報酬の表現がないからといって献体の精神が変わるわけではありません。むしろ、ことさらにそのような表現をとることの方が不自然なようにも思われます。

もち論、葬儀等に際しまして、供花等を受けることは儀礼上当然のことと考えます。

 

 

 

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