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かき出だせば

 

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見覚え有りしこの木札と 取る手もおそしとうち眺め

 

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『ナニナニ この飢鬼阿弥車 紀伊の国熊本現湯の峰まで送るものは 一引きが千僧 供養 二引きが万僧供養 三引き四引き引くものは 久離兄弟菩提のため 相模の国は藤沢山無量院清浄光寺遊行上人より書き記す』

 

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裏を返せば

『ナニナニ 一つこの車の施主は数多ある 中に中山道は垂井の宿 万屋長右衛門が抱えし下の水仕 常陸の小萩 ヤヤヤ コリャコレ いつぞや我が門前へ 餓鬼阿弥車の着いた時 御主様に上下五日の暇をもらい大津関寺玉屋が門まで 引き連れて 別れを惜しむその時に 添え書きなしたるこの札書き 申しお殿様には不思議な品を御所持してなされましてございます どうしてこの木札があなたのお手に 入りましたか』

 

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『フフン 不思議は尤も 先頃その木札を襟にかけ この街道を引かれたる餓鬼阿弥は かくいう平判官光重なる』

 

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聞くよりハッと驚いて

『さてはあなたがいつぞやの 餓鬼阿弥様にましますか ろくろく日柄もたたのうて でもマア お早い御本復 申しお殿様 貴方ほどに幸せなるお方はござりませぬ 小萩が語りますると一通り お聞きなされて下さりませ あなたのご出世を見るにつけ 世に私ほど味気ない者はございません お殿様には 女子だてらに御主様に上下五日の暇をもらい あなたの施主につきましたのも 別ならず 恥ずかしながら自らが 二世と

 

 

 

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