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方法は大きく分けてふたつある。ひとつにはトラムと呼ばれる専用のクルマに乗り込み、ガイドの説明を聞きながら観賞する方法で、トラムはイースト・ループとウエスト・ループという経路をゆっくり進む。50分間の旅を経験することで観客の多くはある種の恐れを抱く。それは動物への尊敬の気持ちから訪れるものである。もうひとつはトレールという徒歩で観賞する方法で、3.2キロメートルの距離がありフィッシングキャット・トレール、レオバード・トレール、フォレストジャイアンツ・トレールの3コースが設定されている。フィッシングキャット、レオバードトレールのふたつが、それぞれフィッシングキャット(スナドリネコ)とレオパードを主役に、動物の姿を観察することに主眼がおかれている。

「ナイト・サファリ」の大きな特徴はフォレストジャイアンツ・トレールというジャングルの雰囲気を味わうための経路が設定されていることである。フォレストジャイアンツ・トレールにおいてジャングルの中を歩くことは動物を見るという直接的働きかけを越えて、ジャングルの持つ雰囲気などから威厳ある森の重要性を知ることである。森の地面をはなれてフォレストジャイアンツ・トレールの途中にある長さ35メートルの吊り橋の上で、観客は大きな樹木が地面近くにある植物の覆いの役割を果たしていることを知ることになる。ジャングルの中を縫うように通り抜ける道で、観客はジャングルの空気を吸い込み、セミやコオロギなどの昆虫の音を聞き、花を見ることで自然と人の間の親密な関係性を感じるのである。

都市の発展が母なる自然を侵略するスピードを上げるなか、「ナイト・サファリ」はより多くの娯楽を観客に提供する。そして、「ナイト・サフアリ」は夜のジャングルのなかで子供から老人までのすべての人に対して価値で計ることの無意味な教養を分け与えるのである。

 

「アドベンチャーワールド」

日本においても、ナイト・サファリの試みがおこなわれている。和歌山県にある「アドベンチャーワールド」と静岡県にある「富士サファリパーク」がそうである。ここでは「アドベンチャーワールド」を事例に取り上げたい。

「アドベンチャーヮールド」は園内を「エンジョイワールド」「パンダランド」「マリンワールド」「サファリワールド」「海獣館」「プレイゾーン」にゾーニングをおこなっている(図3)。それぞれのゾーンは「動物と友達になれる」「貴重な友達に会える」「海のスターたちが感動ショーを繰り広げる」「草原の中でゆったり暮らす動物たち」「極地に暮らす動物たちに会える別世界」「遊び切れないほどアミューズメント施設充実」と謡っている。「アドベンチャーワールド」が友達とゆっくり会える自然の施設の実現を試みていることがわかる。

「アドベンチャーワールド」では1996年からゴールデンウイークと夏休みの間、合計30日余り、ナイト・サファリを実施している(21時に閉園)。「アドベンチャーワールド」

 

 

 

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