日本財団 図書館


大きな問題はないのではないか。

例えばこの前も確かNHKでやっていましたけれども、ネジ釘がある。何の変哲もない日本の中小企業がつくったネジ釘がある。このネジ釘が実はどういう高度のテクノロジーを持っているか。このネジ釘は例えばいくら振動があっても緩まない。いくら高熱に上がっても緩まない。いくら天候が変わっても緩まない。絶対に緩まない。これと同じ形のものはすぐやアジア各国でも生産できるであろう。しかし同じ性能を持ったものはできない。テクノロジーの意味で型だけは同じだろうけれども中身は全く追いつかない。そういう日本のテクノロジーのすごさというのはやはり続いているわけです。結局日米貿易構造が永遠の日本側の黒字に終わっているというのはこのテクノロジーのせいである。

日本人は金融であるとか貿易などにはちっとも向いていないと思います。特に商人としてはだめなのではないかと思います。中国には遠く及ばないところがあるのだけれども、しかし物をつくるということになるとそれはすごい。結局は物をつくることにおいて非常にすぐれた才能を日本人は持っているのではないでしょうか。

それは古く歴史を振り返ればすぐにわかります。例えばアジアの諸国多しといえども自力で飛行機を設計し、生産し、戦争に使った国は日本だけである。しかも敗戦までに無量10万機はつくっている。艦船に至っては、これは日露戦争当時は連合艦隊の艦船の大半はほとんど全部イギリス製であった。しかし太平洋戦争の時はすでにこれを完全に自分のものにして、世界最大の戦艦大和、武蔵を就航させていたわけです。こういうテクノロジーの歴史というものがあって、この歴史がやはり私は結局はいろいろな通貨危機があってもいわゆるファンダメンタルという中心をなすのではないかと思います。ファンダメンタルというのはその国の要素であって、トリプル安の通貨の値段である、株価の値段である、国家財政であると、そういうことがいろいろ左右するわけです。

通貨の問題でも株価の問題でも、えらい株安でありますし、円安に流れておりますし、失業人口もどんどん増えている。ファンダメンタルな要素では非常に危ないのでありますが、しかしそのファンダメンタルの中に救いになるのは恐らく工業力や技術力である。そういうところがあるから私は大丈夫なんだろうと思っているわけです。

そうすると、我々はこの工業力というものを結局はアジア諸国に紹介していかなければならない。紹介していくことによってアジア諸国のファンダメンタルが上がる。工業力が上がる。自力でものをつくれるようになると、これは随分違ってくるのではないか、つまり通貨危機があっても揺るがないことになるのではないか、交流とか観光に障害が出てこないということになるのではないかと思います。

そういうことでアジア諸国は競って日本の技術を入れようとしているわけですが、確かに受皿のほうの問題もあるのです。大変熱心なのは例えば韓国です。三星という韓国最大の財閥は三星自動車の工場をつくった。韓国4番目の工場として自動車産業として名を上げたのです。そしてどうして名乗り出たかと、三星自動車をつくろうと李会長は考えたか。技術的に日本に追いつくためにはやはり自動車産業ではないかと、今や工業界、生産業界の中心をなすのは自動車産業である。関連産業2万社に及ぶわけですから。

そこで三星自動車は福岡の日産自動車と技術提携をすることになった。

こういうことで、積極的な技術提携をやることで、韓国の工業力を上げようとしている。その裏には交通ネットワークがあるということなんだろうと思いますが、しか

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION