
きとともに、高齢者に対して最も適した長期ケアの施設を紹介しています。
必要と認められる場合には、精神科医の所見を含めた専門家による医療評価ならびに病院との提携を図るなど、特に痴呆患者のニーズに合わせた多くのサービスを提供しています。また、心理テストや痴呆患者の運転能力評価も行うことができます。オーストラリアは国土が広大なため、車の所有率が高くこの評価は重要とされています。
なかには、看護婦による進行型ケース管理を受けるクライアントもいます。痴呆症をもつ患者の評価を行ったのち、管理計画がつくられ、患者およびケア提供者に最良のサポートを決定します。有能なケア提供者がいる場合は、一般医と家庭における継続的ケアがあれば、公式な進行型ケース管理は必要がないこともあります。しかし、家庭におけるサポートが不十分であったり、患者の容態が急速に悪化したり、その行動管理が困難である場合には、進行型ケース管理が行われます。また、地域高齢者ケア・パッケージを提供する介護士など、チームに属さない医療ワーカーがケア管理者として指名されることもあります。
痴呆症のデイケアは、1週間6日間行われます。これによりケア提供者は必要な休息をとることができる。痴呆症苦痛緩和管理サービスは、施設的な雰囲気を避けるために地元の改造住宅で行われています。輸送手段としては、車椅子で乗り降りができるミニバスが使われ、センターは身体的障害をもつ患者に対応することができます。オーストラリアは多文化社会であることから、英語グループのほかに、6つの主要言語を話す特定の人種グループに分けられます。センターはまた、ケア提供者に対して痴呆症に対する教育をサポート・プログラムとして提供しています。
このチームに紹介された約1,500件のデータを検討した結果、痴呆患者は、評価が行われるまで地域社会のサービスに対し適切にアクセスできていないケースが多々あることが判明しました。紹介されてきた時点で、サービスを受けていた認知障害のある患者の割合は、認知障害のない患者と同数でした。しかし、チームの評価後、サービスを勧告された認知障害のある患者の割合は、認知障害のない患者よりはるかに多くなりました。このことは身体的障害のある患者にはみられなかったことから、認知障害のある患者は、身体的障害のある人々に比べて、ACATの助けなしにはサービスへのアクセスが困難であるということを示しています。それは、洞察力の欠如または、認知障害が家族や一般の医師には確認でき難いともいえます。
ACATの利点は、幅広いサービスにアクセスするための窓口が1つであるという点です。オーストラリアでは、多数の地域社会サービスがあり、提供者数も多いことから、高齢者はどのサービスを受けるべきかが分からないという問題があります。一般医の場合も多忙により、サービスを整理することができないことが多いようです。窓口が1つであるACATへの紹介でこの問題の解決を図ることができます。
チームの構成と提供されるサービスの概要を説明したところで、次にチームの機能について説明します。患者は紹介された後、情報に基づいて選別され、最も適した医療専門家に紹介されます。
地域社会における高齢者の評価で重要なことは、全体的評価が行える医療専門家が存在するかどうかです。ACATは多くの専門分野にわたり、幅広い資格を有するスタッフもいますが、各専門分野のスタッフがすべての患者を診察することは経済的に不可能です。また、その必要もありません。初期評価の段階で、医療専門家が評価のためのツールの力を借りて、包括的評価を行っています。
ツールを用い、患者の公式および非公式のケアネットワーク、病歴、投薬、認知機能、ADL等に関する情報が収集されます。評価ツールは、医療専門家が問題と思われる部分をさらに厳密に調べる、あるいは診断の判定の1つの判断材料として使われます。たとえば、痴呆症は、認知機能に関する有効な判定ツールを使うまで判明しないこともあり、その後、認知に関する問題をさらに調査することになります。
オーストラリアでは、政府がACATから基本的人口統計をはじめとするデータを収集していますが、評価ツールの標準をつくるという目的は、残念ながら完全には達成されていません。
一般に、初期評価は患者の自宅で行われます。自宅訪