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写真1 補助器具  写真2 ベッド見張り番

 

を乗せた際のさまざまな状況での最適な対処方法について教育を受けることが多くなっています。

ホームヘルパーは時には、1日に最高6回も痴呆患者の自宅を訪問します(そのうちの2回は薬の服用を手助けするため)。

スウェーデンでは、薬を正しく服用するのを手助けする新しい補助器具が非常に急速な勢いで普及しました。

写真1の補助器具には薬が入っています。たとえば、もし1日に4回薬を服用するのならば、1週間に1度、薬箱いっぱいに詰める必要があります。また、もし1日に1回しか服用しない場合は、箱に薬を詰めるのは1か月に1回で十分です。器具は乾電池で作動し、薬を飲む時間になると、合図の信号を鳴らすようにプログラムされています。正しい服用量が取出口に現れ、箱をひっくり返して、薬を取出口から取り出すまで、30分間にわたって毎分10秒の間隔で信号が鳴り続けます。この器具をセキュリティー・アラームに接続することもできます。アラームの端末は、痴呆患者が薬を飲みそびれた場合、担当者にそのことが分かるように、ホームヘルパーの自宅と接続されています。痴呆症の初期段階の患者の多くは、他人の厄介になることなく日常の暮らしの一部を自分で処理することができるため、この器具をたいへん重宝しています。アルツハイマー病やその他の種類の痴呆症のための新薬が市場で販売されることから、このような補助器具は、将来重要な役割を果たすようになると考えられます。

 

デイケアは、痴呆患者のケアの連鎖における最初の重要部分です。毎日ケアを必要とする痴呆患者がいた場合、患者は一人暮らしである可能性があるため、デイケア・センターを週7日毎日開くようにすることが目標です。だれもが同じ症状に苦しんでいるわけではないことから、より小規模な施設を設ける必要もあります。痴呆は40代以降の人に罹る可能性のある病気であるため、患者は高齢者とは限りません。園芸、音楽、運動、小型のペット、「静かな部屋」など、多種多様な活動を行う小さな部屋をたくさん備えた大規模な建物をつくるのも解決策の1つと思われます。自治体のなかには、市内全域に分散させた小型のアパートを所有している所もあります。また、暴れる患者をケアするために特別な訓練を受けたホームヘルパーを抱えている所もあります。

泊まり込みでケアを行うオプションも設けるべきです。また夜間サービスも利用できるようにすべきです。一部の自治体では、デイケア・センターを訪れた人が外泊する必要が生じた場合に、集団住宅のスタッフに応援を頼めるように、集団住宅と同じ建物のなかでデイケア・サービスを行っています。

写真2に示したベッド見張り番という補助器具は、患者がベッドを離れるとスタッフに知らせる仕組みになっています。ベッド見張り番はアラーム・システムと接続することができます。ベッド見張り番には調整自在の遅延機能が備わっており、個々のニーズに応じてアラームを鳴らすタイミングを調節できます。時間は8秒から最大32分まで調節可能です。また乾電池を入れて家庭で使用したり、1人暮らしの患者の場合は、電話のシステムと接続することもできます。この補助器具は日本でも入手できます。

 

施設と家庭との協力関係を十分に発達させるには、ショートステイ・ベッドの形態のケアが非常に重要です。これにより、四六時中介護に追われる痴呆患者を抱える家族が、時々休みを取ることが可能になり、完全に燃えつきてしまうのを防げます。このサービスは、介護を担当する家族が病に倒れたり、その他の理由で介護できなくなったときにもなにかと便利です。

痴呆症により障害をもつ人のためのショートステイの

 

 

 

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