

図3 HDS-Rの変化
との交流”、“地域の人々との交流”、“他世代との交流”、“自然や動物との交流”そしてグループホームの住人で形作られた疑似家庭内での各自の役割に配慮しました。また、午前と午後のプログラムに分かれ、音楽療法と散歩や買い物が1週間に2回ずつ組まれています。当然のごとく、本人の生活歴、趣味、嗜好、残存能力、メンバー構成、季節などから必要や希望に応じてプログラムの変更もあります。さらに、長い人生を経てきている入居者にプライドをもってもらうとともにお互いをよく知るために、そして、スタッフの心の支えとして、週に1回「回想法」を取り入れています(詳しくは『回想法への招待』(筒井書房刊)を参照)。
この方法の利点は、痴呆性老人だけでなくスタッフも楽しく活気に満ちた時間を共有でき、老人に対する理解をより深めることができることにあります。
“もみの木の家”の成果と3つのグループホームから得たもの
“もみの木の家”の利用者の変化をみると、入居半年目くらいまでは症状の改善を認めやすく、その後は平行線かやや下降をたどります。また秋田は冬が長いためレベルダウンしやすい傾向があります。約4年間の成果ですが100%とはいかなくともおおよそは言い得ていると思います。
さて、個別にみるとこれまでの利用者7人に次のような変化を認めています。
(Kさん) 表情が明るく生き生きとしてきたが、記銘力低下は徐々に進行している。
(Tさん) せん妄の出現は減少したが、天候によってはたまに出現。ウィットに富んだ会話を楽しんでいる。