
高齢者ケアアセスメント・チーム(ACAT)
時間から8時間のサポートを提供しますが、幅広いケアを行うため、専門スタッフを使うことが多くあります。専門スタッフを利用することにより、痴呆患者は、複数のスタッフではなく、1人のスタッフだけに会うことになるため、混乱が少なくなります。70歳以上の高齢者1,000人に対し10の高齢者ケアパッケージを提供することが現在の目標です。
ACAT
ACATは、オーストラリアの高齢者ケアシステムの中枢といえます。老人ホームのベッド数比率が減少傾向になったころに導入されたため、施設ケアを受ける人々に対して、ニーズに基づいた評価を行えるようなメカニズムが必要だったのです。ACATは、現在、施設ケアへの受入れ資格、または地域高齢者ケアパッケージ受領、の適性評価を行っています。
ACATのもう1つの主要な役割は、施設ケアの必要がない、またはそれを望まないという人々に、最も適切なタイプの地域サポート・サービスを指導することです。しかし、ACATは、それらのサービスの受給資格評価は行わず、サービス提供者が独自の評価を行い、独自の基準に基づいてサービスを受ける人々の優先順位づけを行っています。このため、残念ながらサービスを受けようとする人々は複数の評価を受けなくてはならないことになりました。
現在、地域ごとに121の高齢者ケアアセスメント・チームがあり、オーストラリアの全人口をカバーしていますが、その構成、規模、機能には違いがあります。その主な原因として、以下の2つがあげられます。第1の違いとしては、資金は地域の人口に基づくということです。そのためACATの規模が異なります。そして第2の相違は、ACATと既存の高齢者ケアサービスの連携方法が地域によって異なることです。農村部のACATのなかには、わずか1、2人で構成されている所があります。しかし、都市部のACATは他の地域高齢者ケアサービスや病院の老人医療サービスと統合されるケースが多々見受けられます。
農村地域の非常に小規模なチームを除き、ほとんどのACATは多くの専門分野にわたっています。スタッフには通常、看護婦、老人医療やリハビリの教育を受けた開業医、作業療法士、ソーシャルワーカーなどが含まれています。理学療法士、臨床心理士、栄養士、老年精神科医のいるACATもいくつかあります。また、そのほとんどが老人病やリハビリ患者が入院するためのベッドへのアクセスを図っています。
私の勤務するイラワラ地域には、5つのACATがあり、スタッフ数は農村センターの1人から都市部の5人までとさまざまですが、資金提供を受けているACATの立場と他の高齢者ケアおよびリハビリ・スタッフを組み合わせて、より大きく統合された地域社会リハビリおよび高齢者ケアチームを形成しています。日本はオーストラリアよりも人口密度が高いことから、人口が20万人、うち65歳以上の高齢者が15%以上というサザン・シドニー地域のACATの機能を説明します。このチームは約40人のスタッフで構成されており、そのうち7人はACATプログラムから、また残りの33人が他のプログラムから資金を提供されています。すべての臨床スタッフは高齢者ケアアセスメントを行うための教育を受けています。チームには看護婦が7人含まれ、そのうちの5人は痴呆症の管理に特別な専門知識を有し、また1人は失禁管理の専門知識をもっています。開業医は3人(リハビリ、老年医学、研修医)おり、医療専門スタッフとともに入院用のベッドも備えています。さらに老年精神科医もいます。
作業療法士は4人、理学療法士が4人、ソーシャルワーカーが2人、社会福祉士が1人、足治療士が4人、臨床心理士が1人います。さらに、多くの介護士がいます。
このように多様化したチームは、施設ケアに対する適性評価や、地域ケアのなかで最も適した形態に関する助言、またそれ以上のことを行っています。チームは、包括的な老人医療評価、地域社会や関連のリハビリ病棟で行うリハビリプログラムの提供、自宅の改造や移動など、失禁用器具や日常生活補助器具などの提供に関する助言、ソーシャルワーク、カウンセリングなどの幅広いサービスを提供しています。さらに、老人ホームやホステルに関する情報や収容サービスも行われています。このサービスは、対象地域の老人ホームおよび療養所と協力して行われており、一時的な苦痛緩和のための入所手続