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れた他のどの液体燃料よりも本来的に引火の可能性が高い。

 

図3-3は、広い範囲の自動車用代替燃料に関する自然発火温度を例示している。この場合、検討した燃料のうち、ディーゼルおよびガソリンが、実際に最も低い自然発火温度を持っているということに注目する価値がある。幸いにも、その数字の中で、最も低い自然発火温度(摂氏230度、または、華氏約450度)を持つディーゼルにおいてさえ、実際の温度は非常に高く、既に火災が発生していない限り、もしくは、燃料蒸気が非常に高温のエンジン部品、たとえば排気マニホールドとの直接的な接触に至らない限り、このような温度に遭遇することはありえない。

 

図3-3にあるように、プロパンおよびメタンの値は、純粋なガス状態のものであることを念頭に置くことは非常に重要である。自動車用代替燃料、天然ガスおよび車両用プロパンは、純粋なガスの値より低い自己着火温度を持つガスの混合物である。例えば、純粋メタン持つ摂氏540度の値と比較した場合、天然ガスは、摂氏450-500度の自己着火温度の範囲を持つと推定される。

 

図3‐4は、いくつか自動車用代替燃料に関する爆発限界の範囲を示している。この範囲は、引火の可能性の重要な決定要素である。水素の例のように、爆発限界の範囲が非常に広い場合、引火性の混合気の総体積ははるかに大きいので、引火性の混合気に遭遇する可能性はより高いものとなる。メタノール、およびよりメタノールよりは小さい範囲で、エタノールが、かなり広い爆発限界を持っている;従って、それらの燃料は、他の自動車用代替燃料より、蒸気が点火源に遭遇する可能性が高い。エタノールおよびメタノールに関する爆発限界の範囲への温度の影響を示すために、中間のラインは、常温の摂氏22度(華氏70度)で爆発可能な、最大の体積濃度を示している。 このラインは、この温度で、エタノールおよびメタノールのための「効果的な」爆発限界の範囲が、他のほとんどすべての自動車用代替燃料と同じか、わずかに小さい程度であることを示している。

 

エタノールおよびメタノールはあまり揮発性が高くない燃料であるため、より揮発性の高い他の燃料と同量の液体の体積と比較して、同じ量の蒸気を形成するためには、より長い時間の液体の漏出および流出が必要であることに注意すべきであるメタノールあるいはエタノールの漏出が引火点以上の液体温度で発生した場合、引火性の蒸気が直ちに形成され、低い部分に滞留するかもしれない。 プロパンのような空気より重い他の蒸気と比較したとき、エタノールおよびメタノールのより広い爆発限界は、同等の環境下でより高い引火の可能性を生み出す。

 

物理的特性の定義で説明されたように、燃料が高圧タンク、またはパイプから放出されるような速い流動状態の時はいつでも、潜在的な静電気放電を起こす可能性があり、それは燃料の電気伝導率で決まる。大部分のケースにおいて、容器、または転送パイプを地上に置くことによって十分な保護が得られる。しかしながら、圧縮天然ガスの所で報告されたように、シリンダーから流出した、本来は非伝導である圧縮天然ガスが、明らかに静電気から引火したといういくつかの事例があった。同じタイプの現象は、燃料が蒸気に転化する間に、液体燃料は急速に原子に変わるので、プロパンの高圧漏出によっても同様に生じる可能性もある。

 

ガソリンとディーゼルの伝導性は非常に低い。ガソリンの値は1×10-6us/mであり、ディーゼルの値は1×10-4us/mである。メタノール(44us/m)およびエタノール(0.14us/m)は、静電気放電の蓄積を減少するようなはるかに高い電気伝導性を持っている。このことは、貯蔵所におけるこれらの燃料の双方が、空きスヘースに引火性の範囲にある蒸気/空気の

 

 

 

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