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ない。

 

(b)輸送中の火災の危険性

 

水素を事業所の貯蔵所に移すための典型的な大量輸送の形態は、液化水素(LH2)を専門のタンクローリーによって配送することである。そのような条件の下で、状況は液化天然ガスの輸送に類似している。液化水素のためのタンクローリーは、液化天然ガスのための二重壁で囲まれた構成と同様の形で組み立てられなければならない。しかしながら、液化水素が液化天然ガスよりはるかに低温であるという事実のため、非常に高いレベルの遮へい必要とする。このように、液化水素用のタンクローリーの設計は、事故に際して、液化天然ガス用のタンクローリーより更に強度のあるものが期待される。

 

事故により遮へいが失われた場合には、液化水素の蒸発率は急速に高まるであろう。液化水素の入った内部タンクの破裂を回避するために、換気および圧力リリーフのための貯蔵容器の設計に関する規則が作られている。

 

遮へいの喪失を来たすような事故やその他の事由で生じた、高率で放出された水素ガスの引火の危険性は、明らかに火災につながる。

 

内部容器の破裂は、液化水素の大規模な流出につながるであろう。引火性の水素空気混合気が液化水素のプールの周辺に短時間で形成され、水素がそのプールから蒸発しさらに大きな容量の引火性ガスが発生するため、これは特に厄介なシナリオである。水素ガスは冷たいため、それは比較的密度が高く、かなり長い間地上に近い部分に滞留する可能性がある。水素/空気の火災のきっかけとなる点火エネルギーは非常に低いので、事故区域における大きな引火性のガス雲の中の点火源になりうる可能性は非常に高い。

 

液化水素の流出による他の主要な危険性は、液化水素と空気との接触が、空気およびそれに含まれる酸素および窒素成分の濃縮につながることである。 含まれる量が微量としても、水素と液体の液化酸素の混合物は、潜在的に爆発性がある。

 

(c)事業所の貯蔵所への輸送中の火災の危険性

 

タンクローリーから事業所の貯蔵所までの液化水素の輸送は、液化天然ガスの輸送と同様、複雑なプロセスである。人的ミスの可能性と結びついた多くの段階に基づく漏出および流出の危険性がある。

 

(d)事業所での貯蔵中の火災の危険性

 

液化水素の貯蔵設備への要求は、NFPA50Bの液体水素システム‐消費者サイドに明記されている。この基準は、貯蔵タンクの敷地、流出あるいは編出管理に関する規則および貯蔵容器と液化水素輸送機具の基礎的な設計について述べている。

 

液化天然ガスと同様に、事故による流出が近隣の施設を危険にさらさず、あるいはすべての水道、とりわけ下水道システムに侵入しないことを保証することが必要である。 これは、容器を囲む貯留区域を設けることによって達成される。

 

(e)その他の危険性

 

低温火傷が(1)液体:(2)液化水素とおなじ低温にある金属:そしてより小さい範囲で(3)

 

 

 

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