術者がいない。このためエネルギー省の輸送技術局は、エネルギー政策法441に従って、代替燃料車への改造を行ったり、改造車や充填所のメンテナンスおよび修理を手がける技術者を認定するための、国家的なトレーニング計画に資金提供を行っている。この計画はCHAMP(自動車代替燃料における高度習熟認定)と呼ばれる。
トランジットバスおよび大型車
代替燃料を使用するトランジットバスおよび大型車によるメンテナンス施設の利用拡大には二つのシナリオがある。
バスについては、トランジトバスの事業者は一般的に、保有代替燃料車のメンテナンスを、独自に行っているか、またはエンジンディーラーに任せているかである。
一方、代替燃料に関する技術分野で経験のあるメンテナンス技術者の不足が問題になっている地域には大型の代替燃料自動車はわずかしか普及していない。さらに、大型車がよく利用するメンテナンス施設の多くは、換気装置や室内でのガス系燃料の安全な取り扱いに必要な探知器をもっていない。改善は進んでいるものの、そのペースは遅い。
代替燃料を使用する小型車やトランジットバスのインフラ整備の進捗度は、代替燃料自動車の普及速度と並行しており、拡大に向かう中で重大な障害はない。
しかし、大型の代替燃料自動車については、インフラに関して充填、メンテナンスなどで問題もある。ただし、問題に対処する中で得られた知識が、大型の代替燃料自動車の普及に寄与しており、いくつかの点で進展もある。
自動車の利用可能性
米国における代替燃料自動車
ここ数年、米国における小型の代替燃料自動車は政府保有以外の車も含めて増加している。図5-1-28は政府保有の圧縮天然ガス自動車の普及台数を、図5-1-29は政府保有のメタノール(M85)自動車の普及台数を示している。
また、米エネルギー省のエネルギー情報局は、シボレーがエタノールでも走行可能なピソクアップトラックを製造すると発表したことから、エタノール・フレキシブル自動車は近い将来、約3200台になると見込んでいる。政府保有のエタノール自動車の普及台数については図5-1-30の通り。
ガソリン以外を燃料とする自動車のなかでは、米国で最も普及台数が多いのは、小型の液化石油ガス(プロパン)自動車である。ほとんど全てのプロパン自動車が改造によるものであるため、その数の特定は困難だが、現在入手可能ななかで最良の情報によると、プロパン自動車は約21万7000台普及している
米国公共輸送協会によるトランジットバスの事業者を対象にした調査によると、5万2000台以上のトランジットバスのうち約5%が代替燃料を使用している。これは、他の部門における代替燃料自動車の普及状況を上回るもので、トランジットバスが代替燃料自動車のアプリケーションとしてほぼ理想的だということを反映しているといえるであろう。