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?.経営上の問題点と対策

問題点

当航路は、甑島と本土を結ぶ唯一の交通機関として重要な使命を担っている。現在は、旅客はもとより自動車航送、郵便物や新聞、島民の生活必需物資の大半を当航路により輸送されている。しかしながら、当航路には、これまでRORO船が3隻就航しており、その他本年2月から不定期船2隻(50名乗りと70名乗り)が定期運航まがいで就航したことにより、最近においては、釣り客及び一般客を奪われている状況にある。

当社船においては、串木野〜甑島間における夕方便がないため、その利便性に欠けるが、生活航路としての位置づけから寄港地も多く、甑島住民の意思を反映し運航するには、下甑住民の不満や上甑島との利害関係があるが、現行ではこのようなダイヤでしか運航できない現実がある。

また、このところの原油価格の高騰により、燃料費の大幅なアップは経営を圧迫し、船舶修繕費、人件費と共に懸念される問題である。

対策

これらを解決するためには、船室改善とダイヤ改正が不可欠である。その場合、乗組員の時間外の問題、船員の増員問題、採算性等がクリアされなけらばならない。

また、大型フェリー就航により寄港地を少なくして2便体制とし、それに伴うダイヤをよく検討し、高速船との2隻体制での供給の確保と利用者への利便性を図らなければならない一方、営業収益向上に努力することはもちろんであるが、経営を圧迫している要因を払拭するにしてもどうしようもないものもあり、収支のバランスが崩れつつある現在、今後、運賃改定を考える時期にきているのではないかと思われる。運賃改定については、消費税改定の転嫁分を除き、昭和57年7月以降はない。

国の補助航路を対象とした標準賃率、単価からすると、当該航路の運賃については、フェリー旅客運賃がキロ当たり6.37円、自動車航送がm当たり104.22円と低くなっている。

運賃改定時期については、新船就航時か、今後の状況次第によっては、運賃改定も止むを得ないものと思われる。しかしながら、住民の負担を極力軽減することはもちろん、甑4村との十分な検討が必要である。

 

?.リプレース計画

「フェリーこしき」が平成12年、「シーホーク」が平成13年にそれぞれ耐用年数の期限が到来し、老朽化が懸念される。決定はしていないが、そこを目途にまず「フェリーこしき」の大型化(1,000トン型)を計画し、3年後ぐらいに「シーホーク」のリプレースを考えたい。

ただし、建造費が大型化すると、これまでの「フェリーこしき」に比べ船価が倍増し、会社の負担能力からすると余りにも大きく、国や県からの補助が是非必要となる。 また、大型化により、寄港地が港湾施設の関係から里港と長浜港に限定されることから、住民の十分な了解と港の浚渫及び可動橋(里港)が必須条件となってくる。

 

?.経営方針、経営戦略

?安全をモットーに、安定した経営とサービスの向上、甑島島民及び利用者から愛され親しまれる航路作りに邁進したい。(特にお年寄りや身障者に親切に)

?「シーホーク」ドック期間中の2便体制の確保及び夏期臨時ダイヤの延長について

「シーホーク」ドック期間は、奇数年が約2週間、偶数年は全機関解放検査等の整備のため約4週間となっている。そのため、「フェリーこしき」は平常ダイヤの1日1便からこの期間中は2便体制にして島民及び利用者の利便性向上に寄与したい。しかしながら、串木野新港または島発を起点とする場合でも所用時間の関係から、2港以上抜港することが基本条件となり、公平さと実績面から検討すると各村での利害関係が生じてくるため、非常に難しい問題となっている。もし甑島振興協議会で解決できる案があれば、夏期臨時ダイヤ(フェリーこしき)にもこれを適用し、現行6日間を「シーホーク」便と同様、約1ヶ月延長することで、ある程度の経費はかかるが、需給緩和と増収策としたい。

 

 

 

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