3. 広域観光のネットワークの形成
天草だけでは、広域からの観光客を誘致するのには魅力に乏しい点もあるので、九州における吸引力の高い観光地・テーマパーク等と天草をセットにした商品の開発についても検討する必要がある。
「阿蘇と天草」「ハウステンボスと天草」等々、バラエティーに富んだ組み合わせが考えられる。平成5年には「九州テーマパーク等振興協議会」が設立され、活動が行われている。また、いくつかの県にまたがった広域での観光振興推進の協議会も活動を行っている。
これらと連携を図り、天草を広域ネットワークの中に位置づけた売り込みの努力を行うことも必要であろう。(「早わかりタイムネットワーク」「他県等と共同しての観光振興施策概要」参照)
4. グリーンツーリズム(自然環境保護をすすめる旅)へのアプローチ
農林水産省が提唱している、農山村の自然と文化をありのままに生かした農家民宿などによる家族ぐるみ長期滞在型の旅行形態を、グリーンツーリズムと呼ぶが、大規模開発型のリゾートではなく、テーマパークを誘致することでもなく、今ある自然を利用できるという点で天草地域ではこの「海洋版グリーンツーリズム」へのアプローチも検討の余地があると考えられる。
バブル崩壊後は、派手で大がかりなレクリエーションよりも、「ラーニング・バケーション」(遊びながら学ぶ)と呼ばれる体験、観察を加えた自然志向のレクリエーションが静かなブームとなっている。
ちょうど熊本県では、小国町においてグリーンツーリズム大学を開催しており、その経過および活動内容を参考に天草の地域おこしに活用すべきである。
5. 天草来訪意向86.5%の顕在化への努力 ──観光ニーズ調査より──
○東京・大阪・福岡・大分・宮崎・鹿児島の20才以上の男女1,006人を対象とした観光ニーズ調査の結果は、第3章にまとめたが、そのアンケートの中で「あなたは、天草を旅行したいと思いますか」という質問で天草への来訪意向を調べた結果は、68.5%の人が天草への来訪を希望しているのである。
確かに「旅行したいと思う」と回答した人がすべて天草へ旅行するわけではないないが、この回答結果は天草の観光地としての魅力はきわめて高いことを示しているのはまちがいない。天草に過去旅行したことがある人のうち、実に72.5%が「再び行きたい」と希望していることは、更にこのことを裏づけるものである。
○東京・大阪の人にとって、九州は観光地として魅力ある地であり、来訪意向はきわめて高い。「行きたい観光地」の設問の回答結果によると、九州の観光地の中では、天草は「中の上」といった位置づけである。東京・大阪市場へのアプローチは、九州の観光地をいくつかセットにした周遊コースとして商品化することが必要であるが、観光地の組み合わせのメニューの中に天草は十分採用されうる位置を占めていると判断される。