日本財団 図書館


(3) 輸送コストのメリット

地方港湾利用のメリットで、一番大きいのがコストカットである。

熊本県の事業者にとっては、神戸港や北九州港、博多港などの主要港との陸送費用が大きな負担となっている。熊本港から釜山港などのハブ港とを結ぶ定期コンテナ航路が利用できれば、陸送分の費用が削減されることになる。

以下に熊本県の試算を紹介する。

 

県の試算

▼運送コストの比較

《前提条件》

熊本港背後10km以内の工場から韓国・釜山港に貨物輸送する場合の料金比較

荷姿:20フィートコンテナ1本分 重量20トン

輸送形態:工場から港の上屋に搬入し、上屋でコンテナに詰めてコンテナヤードから船舶に載せる。

028-1.gif

博多港から積み出しする場合と熊本港から積み出しする場合、

20フィートコンテナ1本あたり

229,330円-155,490円=73,840円の差がある。

単純に県内のコンテナ貨物量で試算した場合

73,840÷20トン=3,692円/トン

845,376トン/年×3,692円/トン=31.2億円となり、

県内の荷主にとり、それだけの損失となっている。

 

▼荷役・倉庫業への影響

また、倉入れ・倉出しや沿岸荷役等は、博多港で行われるため博多港周辺の企業によってとり扱われ、県内の荷役・倉庫業にとってはビジネスチャンスを奪われていることになる。もし、県内のコンテナ貨物量がすべて熊本港で取り扱われるとして、上述の比較表から算出したなら次のようになる。

 

(14,260円+27,940円+16,990円)÷20トン=2,959円/トン

845,376トン/年÷2,959円/トン=25億円となり、

その分だけ、荷役業・倉庫業等にとって損失となっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION