開催趣旨
1994年より始まった国際協力推進協会(APIC)と読売新聞社主催の「アジアからのメッセージ」は、世界経済の推進力として大きく変貌を遂げつつあるアジア地域の諸問題について、世界のオピニオン・リーダーたちが自由に話し合い、適切な提言を世界に発信するシンポジウムとして、高い評価を受けてまいりました。
94年に東京で開催された第1回シンポジウムでは、‘奇跡'と言われたアジアの経済成長を背景にアジアの政治、文化を分析し、経済協力の新たな指針について討議しました。会場をバンコクに移した95年の第2回シンポジウムでは、戦後50年を踏まえた今後の地域協力の推進などが主要議題となりました。96年の第3回シンポジウムは、日本とアジアの接点とも言われる九州の大分県別府市で行われ、「成長期」から「成熟期」に移行するアジアが世界に果たすべき役割、域内相互協力、特定の発展途上国が他の途上国に対して援助する「南南協力」の具体策など多くの実りある意見が交換されました。
「第4回アジアからのメッセージ」は、97年秋,広く太平洋に面した和歌山県において開かれました。21世紀に向かうアジアは、高度経済成長期を経て一層多極化する一方で、この度発生したアジア通貨の不安を除去するため、新たな金融システムの整備、産業・経済構造の変革に迫られています。本シンポジウムでは、これら諸問題について様々な角度から具体的な議論がなされました。
第1部は、「転換期のアジア経済と地域協力」として、新たな経済相互依存関係と経済構造の変革、アジアの大都市成長と経済インフラ(通信、運輸、エネルギー、上下水道等)の整備、アジアの大都市成長に伴う環境問題への取り組み、などが議論されました。また第2部では、アジア主要都市の都市開発への展望と対応策、メコン河流域総合開発協力の推進、環境政策と地域協力などの、より具体的な内容に関して実務的な討論を行いました。
「アジアからのメッセージ」は、急速に変化するアジアの諸問題を域内外の識者、さらに地方自治体や民間援助団体(NGO)などの専門家を交え、定期的、総合的にフォローすることにより、変化の方向、質などを的確に掴み、世界の英知によって分析されるアジアの現状を正しく世界に伝える有力な手段であると確信しております。また、本シンポジウムを広く日本の各地で開催することにより、それぞれの地域の国際化にも貢献するものです。さらにアジアが急成長の中で積み残した諸問題を域外からの冷静な目で見つめ直すことで、アジアのさらなる発展指針を提供する貴重な場でもあると信じております。