7. むすび
踏切遮断時間の短縮化は社会的課題として位置づけられており、各種の装置や考え方が導入されて効果を上げている。
しかしながら、大都市近郊線においては輸送力増強のため運転時隔短縮や列車編成長の長大化が推進されていることから、踏切遮断時間は増加傾向にあり踏切遮断時間の短縮化はますます重要な課題となっている。
「踏切制御システムの開発」においては、このような背景のもとに、広域列車運転状況を把握し、必要に応じて、信号現示抑止を行い、踏切警報区間内を走行する列車の走行状態を制約して踏切遮断時間の改善を図る方法を開発した。
信号現示抑止を加味した遮断時間短縮化論理により、ラッシュ時間帯等、高密度運転低速走行時におけるきめ細かな遮断開始時期適正化制御が可能となった。また、前方列車走行状態を基にした信号現示抑止を行うことにより、遮断開始時期の適正化と踏切の開扉回数増加に有効であることが確認された。
更に、複数の踏切制御装置が伝送器を介して接続されるので、各踏切制御装置の動作監視、広域列車運転状況の把握、踏切異常時の遠隔回復など情報管理と運用面での高度化の可能性がでてきた。
また、踏切で待っている人のいらいらを少なくするために、列車の接近状態を表示する列車進行方向指示器を試作した。
今回の開発は、踏切の課題改善に有効な成果をもたらした。実用化を推進するには試験で明らかとなった改善事項の解決と併せ、信頼性の面からも深度化を図る必要がある。