さて、NA/1は南砂町まではほとんど遅延せずに運行しているが、東陽町には75秒遅れて到着する。これは先行列車(R9/*:B807KR)の遅延(着遅延65秒、発遅延95秒、発発時隔155秒)による影響を受けて機外停止しているためである。一方、西葛西においてNA/1の乗車可能人数はNA/2より58人も多い。そこで、NA/1の停車時分を延長してNA/2の乗車人数の一部を分担すれば、NA/2の停車時分を短縮できる可能性がある。発着時隔と乗車人数から考えて、NA/1の停車時分を20秒延長し、15人の乗客がNA/2からNA/1に誘導できた場合を想定する。このとき、NA/1の停車時分は70秒となるが、NA/2の停車時分は誘導できた15人がどの車両(扉)から移動していったのかによって決まる。図2.1.3-1より、NA/2の誘導対象人数は以下の通りである。
車両(扉) 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
誘導対象人数 0 0 0 -2 -3 0 8 0 0 0
これより、4両目から8人、6両目と7両目以外から1人づつ移動したとして、乗客流シミュレータで停車時分短縮効果を評価すると、短縮時分は3.9秒になる。そこで、NA/2の停車時分が5秒、10秒、15秒短縮できた場合を想定して、列車運行シミュレータにより対象区間の列車運行を求める。ただし、南砂町と東陽町の停車時分は変化がないものとする。図2.3.2-4に一例として西葛西の停車時分が10秒短縮されたと想定した場合のシミュレーション結果を示す。図2.3.2-3と比較すれば、東陽町においてNA/1の着遅延は同じであるが、NA/2の着遅延は10秒減少していることがわかる(8:32:33→8:32:23)。
一方、R8/1(10/21)の事例では西葛西において先行列車(N8/2)の乗車可能人数が35人ときわめて少ないため、R8/1の乗車客の一部を分担する余裕はないと考えられる。このように、先行列車の乗車可能人数が続行列車よりも多ければ、先行列車の停車時分を延長して続行列車の乗車客の一部を分担することにより、続行列車の停車時分を短縮できる可能性がある。