2.3 列車運行シミュレータを用いた列車遅延防止効果の検証
本節では、現実の乗降状況と列車運行状況を調査分析した結果に基づいて、乗客流シミュレータと列車運行シミュレータを用いたシミュレーション実験により、乗客誘導を実施した場合の列車遅延防止効果を検証する。検証すべき列車遅延防止効果としては、次の2つを取り上げる。
・乗客誘導を実施した場合の続行列車遅延防止効果
・先行列車の停車時分を延長した場合の続行列車遅延防止効果
2.3.1 乗客誘導による続行列車遅延防止効果
乗客誘導により停車時分の短縮が見込まれ、かつその続行列車が駅間で減速または機外停止した場合を対象として検証する。まず、乗客誘導により停車時分の短縮が見込まれる列車は表2.1.8-3に示した通りである。次に列車運行状況から駅間で減速または機外停止した列車を抽出する。これは実績ダイヤから発着時隔が短く、かつ前駅から当該駅までの駅間走行時分が長い列車を抽出すればよい。このようにして抽出された列車に対しては、駅間走行データに基づいて列車運行シミュレータで作成した列車運転曲線を調べれば、機外停止の有無がわかる。これらの結果から、停車時分の短縮が可能な列車に対して、その続行列車が駅間で減速または機外停止した場合を抽出する。そして、乗客流シミュレータで求めた乗客誘導時の乗降時間から出発時刻を想定し、先行列車の停車時分が短縮された場合に続行列車の遅延がどの程度まで防止できるかを列車運行シミュレータで求める。
図2.3.1-1に発着時隔と駅間走行時分の関係を示す。これは東陽町(平成8年10月21日、朝ラッシュ時)の場合である。これより、発着時隔が計画値(85秒)以下で、駅間走行時分(南砂町〜東陽町:計画値は各停/110秒、快速/95秒)が各停/150秒、快速/135秒以上の列車を抽出すると、以下の14本となる。ただし、これは最小間隔(135秒)で運転している第5グループから第Bグループまでの列車28本を対象とした。
R5/*、N6/1、N6/2、R6/*、N7/1、R7/*、R8/*
N9/1、N9/2、R9/1、R9/*、NA/1、RA/*、RB/*