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2. シミュレータを用いた乗客誘導の効果検証

 

実測した乗降状況および列車運行状況をもとに、乗客誘導の可能性と実施基準について考察する。さらに、乗客流シミュレータと列車運行シミュレータを組み合わせたシミュレーション実験を行い、乗客誘導の効果を具体的に検証する。

 

2.1 乗客流シミュレータを用いた停車時分短縮効果の検証

 

平成8年10月に営団地下鉄東西線で朝ラッシュ時の乗降状況および列車運行状況を調査した。本節では、これらの測定データから列車遅延と混雑度の関係を分析したうえで、乗客誘導の可能性と実施基準を考察する。そして、平成8年度に開発した乗客流シミュレータを用いて、乗車人数と乗車可能人数に着目して乗客を誘導した場合の停車時分短縮効果を求める。

 

2.1.1 列車遅延と混雑度の関係

 

混雑度が平滑化されていなくても、輸送力が十分に大きければ、列車遅延の発生および増大はおこらないはずである。そこで、測定データから列車遅延の発生状況と原因を分析した。

 

図2.1.1-1は西葛西、東陽町、茅場町(平成8年10月21日、朝ラッシュ時)における各列車の着遅延・発遅延と混雑度の関係を示したものである。ここで、列車の混雑度はホーム上の10ヵ所でビデオ撮影した乗降状況から測定した到着時の混雑度を平均して求めた。図の縦軸は遅延時分を、中央の帯状部分は混雑度を示す。また、この路線では4本の列車を1グループとするダイヤパターンで運行されているので、列車を以下のように番号付けした。そして、図の右側に実際の列車番号との対応を示している。

・N○/1 下妙典始発の各駅停車

・N○/2 各駅停車

・R○/1 通勤快速(浦安からは各駅停車)

・R○/* 快速(葛西、西葛西、南砂町は通過、葛西でN(○+1)/1を追い越す)

 

 

 

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