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第5章 フランスの家族政策

 

1. 現在の家族給付

 

(1) 家族給付の概要

 

● 給付の受給権者

家族給付は、フランス国内に居住している者が対象となる。フランスに居住していれば、フランス国籍を持たない外国人にも受給の権利がある(滞在許可証などが必要)。国外に住むフランス人に関しては、欧州経済共同体加盟国に居住する者に対する例外措置などもある。

自由結婚カップルも法的婚姻関係がある夫婦と同様に家族給付を受給することができ、両者の間にはいかなる差別もない。逆に非婚カップルが、片親世帯であるかのように工作して家族給付を受給した場合には罰金か禁固刑が課せられる。カップルで子どもを扶養する場合には、そのどちらか一方を受給者とすることができる。受給者が死別ないし夫婦が離婚(自由結婚カップルの別離)した場合には、子どもに関する給付は子どもを扶養する親に支給される。また片親世帯もカップル世帯と同様の権利を有する。

 

● 「扶養する子」の条件

子どものための給付を受けるためには、フランスに居住する義務教育を受けている子ども(16歳未満)を扶養していることが条件となる。ただし次の条件を満たす子どもは、18歳ないし20歳まで「扶養する子」として認められる。

・18歳未満:働いていない子ども、あるいは全産業一律スライド制最低賃金(SMIC)の55%を越える所得を持たない子ども。

・20歳未満:就学ないし職業訓練を受けている子ども、見習い期間で働いている子ども(上記と同じ所得制限あり)、障害のあるために働けない子ども、特別教育手当受給資格のある子ども。

なお子どもが外国に行った場合には、年間3ヵ月までの期間に限って給付を受け続けることができる。

最近では子どもの養育期間が長くなっているために、1999年末までに年齢制限を現在の20歳から22歳に引き上げられることが1994年の法律で定められた。

 

 

 

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