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た「泳ぎの難しさ」や「泳ぎのきつさ」,あるいは歴史的に見て平泳ぎから別れた「新しい泳法」であるということが影響しているものと考えられる。

 

3) ゆっくり長く楽に泳ぐバタフライ

 

表4に1996年11月に10,000mを400m個人メドレーで25本連続して泳ぐトライアルを行ったときの記録を示した。参考として1993年のマスターズ大会で泳いだ400m個人メドレー(自己ベスト記録)の記録も示した。400m個人メドレーを単発で泳いだ場合,泳速は当然,自由形,バタフライ,背泳ぎ,平泳ぎの順になるが,25本連続してゆっくり長く楽に泳いだ場合,バタフライが最も遅いペースとなり,なおかつ25本のタイムのばらつきもバタフライが最も大きくなった。

このようにバタフライはマスターズスイマーにとって色々な顔を持つ興味のある泳法と言える。そして,このバタフライが実はそれほど難しくなく習得できる特別の方法がある。以下にそれを紹介する。

 

4) バタフライのやさしい練習法

 

腕を両手同時に水面上に持ち上げることとプルとキックのタイミングを合わせることのむずかしい泳ぎである。

したがって腕を水面上に持ち上げない。プルとキックは1対1(正確には2対2)のタイミングでともに同時に曲げ伸ばしを行なうことを重要な練習テーマとする。

従来いわれている上手な泳ぎ方の特徴

イ.ハイエルボープル

ロ.膝をあまり曲げないで腰のうねりを用いるドルフィンキック

ハ.キーホールプルパターン

等はいずれもこの練習法では難しい手本であり,行なわないようにする。

やさしい練習法の特徴

たまご段階

何もしないでただ充分に息を吸って丸くなって浮く。他人に背中を押してもらって浮いたり沈んだりする(本当の初心者はこの段階はカットする)。

毛虫段階

水平姿勢から手足を同時に曲げ伸ばしする。足は膝を充分に曲げたドルフィンキックとなり,少しずつ前へ進む。手と足が同時にドボン,ドボンと水面近くで充分に曲げ伸ばしきれることが重要である。(手のひらと足の甲で水を打つがほとんどの人がすぐできる。そしてこれができた段階で90%以上バタフライができたとの認識を持つことが大切である。)

さなぎ段階

次の羽化のために毛虫泳ぎをよりスムーズにより楽に浮いたり,沈んだり,手首だけを水面上に出したりしながら,かきやけりに応じた反作用や浮き,沈みのタイミングをつかんでいく。

ちょうちょ段階

腕の下方外側へのかきと身体の浮き上がりをマッチングさせながら徐々に羽ばたいていく。毛虫段階のドボン,ドボンのリズムはバタフライになってもまったく変わらない。身体全体の浮き上がりの結果,腕の空中へのリカバリーができるという発想が大事である。バタフライのタイミングに着目して,楽に練習を行ない,結果的に練習回数を多くして上手になろうというのがねらいである。

科学的背景は上下の振動に力が要らないということである。

 

 

 

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