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「シンデレラ」は永遠に

 

「シンデレラ」のお話は古くから世界中の人々を魅了していますが、バレエ芸術として誕生したのはそれ程古いものではありません。バレエは音楽によってそのストーリーの精神が心に響き、人間の躍動によって舞台の空間に詩を描くすばらしい芸術です。

 これを観る人々は人体によってかもしだす空間の詩を目と耳と心で感じてその脳裏に永久に残すのです。空間に描く人体による詩は瞬時に視界から消えてゆくはかないものです。そのはかない詩に舞踏家は命をかけるのです。

 このバレエ「シンデレラ」は名もない少女「シンデレラ」が懸命に描く人生の詩なのです。憧れ、希望を他の人々に譲り、つつましく、誠実に生きる人間の姿をいつの世にも「シンデレラ」という少女の名で人々は尊く思い出すのです。このバレエは、愛の本質とは何かを人々に改めて問いかけるものです。

 このバレエの最後で「シンデレラ」があれほど自分をいじめぬいた人々に対して優しく手を差し伸べるシーンがあります。勝者が敗者をいたわるという単純なものではなく、人間の希求する優しさを表しているように思えてなりません。

 この度の「シンデレラ」は松山バレエ団の創造的精神の根本を踏まえて、演出・振付したものです。皆様にご覧頂く事を心からうれしく思っております。 この公演にあたり御支援御教導下さった皆々様に深く感謝の念を捧げます。

 

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