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輪軸は内側へ変位することになる。このような挙動は、2軸台車において、軸箱支持剛性が非常に硬い剛体台車が、急曲線を通過するときの挙動に似ている。

以上のことから、1軸台車においては、枕ばねの剛性の選択が非常に重要であり、安定性ばかりか曲線旋回性能にも大きな影響を与えることになる。1軸台車の枕ばねは、2軸台車における軸箱支持剛性と似たような機能を持ちあわせていることであり、見方を変えると、1軸台車を二つ用いた1車両は、2軸台車の1台車と類似した特性を持っていると考えられる。

 

(7) おわりに

1軸台車の曲線旋回特性を調べるために、マルチボディ・ソフトウエアを改良して曲線旋回の数値シミュレーションを行った。3通りの曲線旋回条件、4通りの台車条件での結果から、1軸台車においては、軸箱支持剛性のみならず、枕ばねの剛性も操舵性能に大きな影響を与えることが明らかになった。今後は、枕ばねの剛性の選択手法をより詳細に検討し、走行安定性を確保しながら操舵性能をも向上させる剛性の条件を求めていきたい。

また、今回は一定としてパラメータにしなかった牽引リンク機構や、その剛性の影響などについても、操舵性能に与える影響を調べる予定である。

これらをまとめて、最終的に、目的に応じた最適な台車条件を求め、さらに軌道不整への応答特性についても検討を行う予定である。

 

参考文献

1) 須田、1軸台車を持つ鉄道車両の曲線旋回性能、生産研究、50-5,1998-5掲載予定。

 

 

 

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