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(2) 最近の台車

新しい1軸台車の開発は1950年代以降、世界的に空白の時期が続き、日本では1965年に軌道保守用車のためのものが開発されて現在に至ったが、1990年代に入って以降、ヨーロッパではラッシュとも云うべきテンポで開発が進められつつある。

初期の1軸台車がTalgo社のものを除いて、実用の域に達しなかった本当の理由は詳らかでないが、高速列車を目指したものはいづれもTalgo社の構造に捕われ、構造が非常に複雑で、且つ一段ばねのものは線路の不整に敏感で乗り心地上或いは強度上の問題が生じたのではないかと考えられる。その後、車両構体の軽量化、ステンレスやアルミ材料、プラスチック材料の使用が進んで車体重量が大巾に下がり、我国のようにラッシュ時に超満員となることがないヨーロッパの鉄道車両では、線路の許容軸重に対して余裕が生じた。列車編成全体の重量軽減は省エネルギーの見地からも重要で、台車の数を減らすことが検討されるようになった。特に路面電車では、市街地の急曲線通過のために車体長を短くした連接車も盛んに用いられているが、この際2軸ボギー台車から大きく軸数を減らす1軸台車へと目が向ったのは当然の流れであろう。また、この路面電車では低床化による移動制約者対策が強い世論となり、これの実現手段としても1軸台車に一層目が向けられるところとなった。さらに幹線の近代化・高速化が進み、主要都市間の到達時間が短縮されたヨーロッパ主要鉄道国では、そこから乗り継ぐ地方交通線の速度向上が望まれるようになり、1980年代後半以降、近代的な高速で走れる地方鉄道用車両の開発が進められて来た。

1) AEG(Westinghouse)社の1軸台車

ドイツ鉄道の二次的な地方線用の軽内燃動車(LVT)開発を目的にAEG社が1軸台車を試作し、試験走行を行った。

一次ばねに、Megi社の円錐形積層ゴムばねをウイング形に配し、二次ばねには、ダイアフラム形の空気ばねを用いている。台車枠は、箱形断面の側ばりの両端をバイプ横ばりでつないで口の字形の台車枠を構成し、四隅に左右動ダンパ2本、ヨーダンパ2本を点対称に配置しており、左右動ダンパはヨーイングにも効果を持つ構造になっている。けん引装置はZリンク方式で、車体側からは台車中央に中心ピンを下ろし、台車側は前後の横ばりにリンクの支点を置く。ブレーキ装置は2枚のディスクを車軸にマウントし、キャリパーは横ばり装架とし、そのモーメント反力により台車枠が回転・傾くのを防止するために、前後横ばり間に捩り棒式アンチローリング装置を備えている。

 

 

 

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