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講師
Aグループ 地球環境平和財団事務局常任顧問 重本勝弘
Bグループ           同事務局長 矢野等子

矢野等子

重本勝弘

環境問題とは、実はみんなが吸っている空気、飲んでいる水、食べているもの、そういうもの全てのことです。ですから、生きること全てに関わってきます。
『地球の秘密』を書いた坪田愛華ちゃんは、環境問題ということを地球の歴史から書き始めています。
地球は今から46億年前にできました。10億年経って海ができ、やがて最初の生命が生まれました。不思議なことに海の中の塩分、鉄分などの成分、それはみんなの体の成分と同じなんです。また石や車も、海や人間の体をつくっているものと同じです。
つまり36億年前に生物が誕生し、それから様々な進化をとげて人類になるわけですが、逆をたどれば人間も木も草も、命の基は海なのです。『地球の秘密』の、その秘密とは、命はみんなつながっている、命はひとつだということです。木も草も水も空気も、どれひとつ欠けても人間は生きていけません。

森と海、この二つはとても深いつながりがあるんです。森にはいろんな種類の花や草、その花のミツなどを吸う虫、それを食べる小鳥、またそれを食べる生き物がいます。特にブラジルや東南アジアなどの、熱帯雨林と呼ばれている南の方の森には、今地球上に住む数百万種の生き物の半分以上がいると言われています。
また森の木々は、酸素を作り、同時に空気中の汚れも吸い取ってくれます。森は地球の肺の役割をしているのです。そして自然のダムの役割もあります。もし森の木が全部切られたら、森に降った雨は一気に川にあふれだし、そして洪水や土砂くずれが起きます。もしも森がなくなってしまったら,土や水、酸素などの人間の生活に欠かせない大切なものが全てなくなってしまうのです。それだけ大切な木を、人間はどんどん切っています。このままいけば君たちが大人になった時、食べ物も水もなくなります。大自然と君たちはみんな命がつながっている、それに気がつくことが大切なんです。
愛華ちゃんは「私は東南アジアやアフリカの人たちのことを考えました。東南アジアでは、私より年下の子でも働いています」と最後に言い残しています。
愛華ちゃんが言いたかったのは、優しい心、思いやりなんだと思います。私たちは豊かだけれど、その反対側に、勉強したいけれど働かなければいけない貧しい人たちがいる。そういう人たちのことも考えようということ。困っている人、病気の人、老いた人、そういう人たちのことも自分のことのように考えたことはありますか。

例えばゴミを捨てて、そのゴミがどうなるかということを考えてみたことがありますか? 生活のひとつひとつが全部環境問題なんです。
つまり必要なだけ食べ、必要なだけ飲み、必要な分だけを買う。それが第一。まず家に帰ったら、自分の部屋を見直してみよう。部屋は自分の心、たましいの住家です。その住家が汚れているかどうかで、その人の人間性が分かります。自分の生活をふり返ってみてムダなものをはぶいていく。
今の人はみんな、お金が無かったら幸せじゃないと思ってる。でも本当は仲間がいて、家族と楽しい話ができる、そういうことが幸せなんです。
学校の成績が良い悪いは、問題じゃない。人間としてどんなに美しい生き方ができるか、どんな心を持って輝いていけるかということが大切なんです。人を思いやるように、木や森や海を大切にする心を持てば、君たちが大人になった時には、素晴らしい世界になっているはずです。

 

 

 

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