第5章 事業への展開
1 事業展開の方針
(1) 基本認識
前述のように、本町ではまちづくりを進めるうえでさまざまな事業が提起されている。しかし、その事業の内容などについての十分な論議をつくしている訳ではなく、またそういう環境が整っているとはいい難い。
一方では、本町のまちづくりに取り組むべき社会環境は整いつつある。住民の一部で起こりつつある、町との協働によるまちづくりへの取り組みがその例である。今後は、こうした点を確固たるものにし、それを拡張するために具体的な事業に積極的に取り組むことが必要である。その場合、まず求められることは、住民、企業、町がさまざまな形で対等に協働するまちづくり活動を目指して、すでに動きが始まっている、あるいは着手しやすく事業効果が期待できる事業を手がかりとすべきである。
(2) モデルプロジェクトとリーディングプロジェクトの設定
そこで、全町にかかわりを持ち、すでに活動を開始していて、町のシンボル的事業をモデルプロジェクトとする。さらに、コミュニティ(ここでは小学校区程度)とのかかわりを持ちながら推進できる4つの事業をリーデイングプロジェクトとして位置づける。それは、まちづくりにかかわるさまざまな事業のなかで、先導的に協働型まちづくりを実践・トレーニングする事業であり、基本的に全町的な広がりを持ちながら、より小さなコミュニティの活動がかかわる事業を重ねあわせて相互に連携をとる事業である。
これらの事業の背景には、フェニックスプランで提起されている、来るべき新しい世紀に望ましいふるさとの姿の一つとしての「ふるさとの森づくり」、すなわち緑に抱かれ環境と共生する住みやすいまちづくりという理念が流れている。
それらの事業を推進してゆく過程で、それぞれの当事者が、まちづくりのトレーニングを重ねながら、問題点や成果を確認する。そして、結果的には、小さな達成体験を獲得し、次なるステップへ進むことが大切であり、そのような積み重ねが目指すべきまちづくり環境を醸成することになる。