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るという意識を生むまちづくりの土壌形成を図っていく必要がある。

 

(2) 産業構造の変化に対応

 

石炭産業の衰退は、本町では昭和51年に貝島炭礦の閉山という形で町の大きな転換をせまることになった。その後の17年にわたる、閉山処理の間に、幸いにして福岡東芝エレクトロニクスやトヨタ自動車九州などの多様な企業が町内に進出し、新たな産業立地による石炭産業からの転換が着実に実現しつつある。

しかし、そこで生まれた新たな職場の従業員増が人口の増加に結びつかないとともに、貝島炭礦以来の地域と企業との関係とは異なるという点も明らかになった。

つまり、国際的企業の進出は、これまで以上に地域に対して、地域という垣根を飛び越え、外へも顔を向けた交流社会へと変質を促している。

そして、企業と地域あるいは住民との関係も一元的な従属関係から多様な対等関係へと転換することが重要であり、企業と町との関係もまた同様である。まちづくりについてもそれぞれが、それぞれの立場でそれぞれの役割を果たすという、ケースバイケースの対等な関係を確立することが要請されている。その意味では、新しい時代においては、地域住民と企業、町がお互いの立場を自覚し、共生していく方策を十分に検討できる場を設け、積極的な交流を深めてゆくことが重要である。

 

(3)地域特性を生かす

 

これまでの「通達」や「補助金」に支えられた中央集権システムによる全国一律の基準や価値観のまちづくりではなく、地域の風土、歴史、文化などを受け継ぎ、多様な企業の立地、広大な遊休地の存在など豊かな地域資源を生かしてこそ、はじめて地域らしさが生まれ、それが地域の活力、さらには魅力につながる。そして、それを担うのは地域の住民であり、それを支えるのが自治体である。地方分権も徐々に進められつつある今、自主的かつ主体的な地方自治体と住民活動の協働は、時期を得たものであり不可欠な姿勢でもある。

 

 

 

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