4 まとめ
(1)立地条件
本町は物理的にも時間的にも福岡市、北九州市の両市とほぼ等距離にあり、また直鞍の中央部に位置する。
町の南北には、なだらかな山が広がっているが、町の中央部には犬鳴川と八木山川が東西に流れ、犬鳴川沿いに平地が若宮町と連担している。主要地方道「福岡直方線」もほぼそれに平行しており、町の東西の骨格となっているとともに、川の上下流との関係を考える上で重要な要素である。
また、計画されている直鞍広域産業循環道路は、町の南北の骨格となるとともに、沿道には多くの未利用地が分布しており、その利用を考慮すれば、まちづくりにとっての大きなインパクトとなると思われる。
公共施設が集中している中心市街地は、町の中心となっているが、町の拠点地区を形成しているとは未だいえない状況にある。一方、地域公民館は町内に広く分布しており(図表1-9)、今後ますます地域活動の場として積極的な活用が期待される。
(2)地域特性
町の人口は、貝島炭礦の合理化閉山にともない半減し、その後も漸減傾向にある。一方では、新たな企業立地もみられ、福岡東芝エレクトロニクスやトヨタ自動車九州などの大企業が操業を開始したが、それが直接人口の増加に結びついたとはいえない状況にあり、今後の企業と地域の関係を考えていく上で、十分考慮する必要がある。一方、二次産業の就業者数が横ばいで推移しているが、その主要な担い手は鉱業から製造業に変化している。
人口は町東南部の旧炭鉱地区に多く分布しているが、増加傾向を示しているのはむしろ中央部から北部であり、これは新しい住宅団地の形成が寄与していると思われる。町内には小学校が5校あり、1校区あたり3〜4000人の居住人口であり、それは町形成の歴史も含めて考えれば、中規模地域のコミュニテイ活動の単位として想定できる。
(3) 地域資源
本町形成史の上での旧村が基礎となって今の小学校区が形成されており、地域活動の単位を考える上で、歴史的な視点を持つことも必要である。
また町内には広く歴史的資源や祭りが分布しており、それらを生かしたまちづくりはもとより、地域活動の拠り所の一つとなりうる重要な資源である。
一方、新しく始められた祭りやイベントは、行政をはじめとした官主導の性格が強く、真に地域に根ざした祭りとなるために広く住民のかかわり方が検討課題といえるだろう。